<文化環境研究所 News> 第12号
2001.2.15発行

−今号の話題−


おススメの新書を二冊紹介いたします

★「ワークショップ」「国立公園」とそれぞれ異なったテーマですが、面白 い新書が二冊発行されましたのでご紹介いたします。

◎ワークショップ ‐新しい学びと創造の場‐ 中野民夫 著(岩波新書710)

♪.『ワークショップは「方法」「手法」であって「目的」ではない』
近頃、皆さんも「ワークショップ」という言葉を耳にされる機会が多いのではな いでしょうか?。
では「ワークショップって何?」と具体的に説明を求められたら私も含め、困っ てしまう方は意外に多いと思います。
この本を読んで「ワークショップ」とは実現したい「目的」に向かって試みられ る「手法・方法」のひとつと理解いたしました。
「ワークショップ」同様「インタープリテーション」や「ハンズオン」といった 言葉が日常的に使われていますが、細かい手法は異なっても大きな方向性(目 的)は「ワークショップ」と同じように感じます。
著者の中野さんは大手広告代理店「博報堂」に勤めておられます。「お上やクラ イアントばかり向いた、つくったらつくりっぱなしのイベントや施設」から「市 民から支持されるイベントや施設」への転換をはかるためには、中野さんのよう なプロデューサーが社会に必要とされていると感じます。
何はともあれ、多くの人が長く手にする本になりそうです。

目次(抜粋)
第1部 ワークショップとは何か
  一 「ワークショップ」の定義
  二 ワークショップの歴史と背景
  三 ワークショップの分類
  四 各分野の概要
第2部 ワークショップの実際
  一 ジョアンナ・メイシーの「つながりを取り戻す」ワークショップ
  二 「自分という自然に出会う」連続第1部 ワークショップ
第3部 ワークショップの意義
  一 ワークショップの特徴
  二 ワークショップの現代的意義
  三 ワークショップの可能性
  四 ワークショップの限界と注意点
第4部 ワークショップの応用
  一 創造的な会議への応用
  二 後援会・シンポジウムへの応用
  三 ワークショップの応用例


◎日本の国立公園  加藤則芳 著(平凡社新書067)

♪.『国立公園をよくするには、もっともっとお金と人手が必要である。それは、 国がする仕事である。最終的には政治行政の力なくして、国立公園はよくならな い。政治行政を司る人にとって、一番気になるのは世論である。世論が盛り上がれば、国も動く。』

国立公園をよくするためには「世論を盛り上げ、国を動かす」必要性を、著者の 加藤さんは感じています。
そのためには良き理解者を数多く増やすことが必要なのですが、国や行政のア ピールだけではその責務を到底果たすことができません。
この不足している部分を如何に民間が補っていくかが、これからの国立公園の鍵 となりそうです。
この新書では日本の国立公園の制度・理念と、置かれている現状を、それぞれの フィールドと関係者の取材を通して平易な言葉で解説し、一人でも多くの人に国 立公園の大切さを理解してもらいたいと考え、書き記されています。
社会にもっと一般化し、多くの理解者が必要なのは、国立公園だけでなく、我々 に関わりの深い博物館も同じですが、国立公園に関して言えば、加藤さんのよう に著述など、違った方向からバックアップしてくれる人間がいる分だけ進んでい るかもしれません。

目次(抜粋)
第一章 国立公園のおいたち
第二章 知床から考える/知床国立公園
第三章 木の国の国立公園/吉野熊野国立公園
第四章 国立公園の縮図/富士箱根伊豆国立公園
第五章 複雑な国立公園システム/霧島屋久国立公園
第六章 野生生物保護への動き/西表国立公園
第七章 新しい国立公園への試み/釧路湿原国立公園
第八章 上高地の試み/中部山岳国立公園
第九章 リゾート法と国立公園/磐梯朝日国立公園
第十章 理想の国立公園/十和田八幡平国立公園・阿蘇くじゅう国立公園・
    大雪山国立公園・日光国立公園・小笠原国立公園

※加藤さんの近著『自然の歩き方50 ‐ソローの森から雨の屋久島へ‐』も同じ く平凡社から発行されています。先程ご紹介した『日本の国立公園』で登場する フィールドも登場しますので、合わせて読まれることをお薦めいたします。 またヨセミテを始めとする海外の国立公園やフィールドについても記されていま す。ご興味のある方は是非ご一読を!

◎『自然の歩き方50 ‐ソローの森から雨の屋久島へ‐』加藤則芳 著(平凡社)
定価:本体1,300円(税別)

−イベントのお知らせ−


開館10周年記念企画展/グレートジャーニー ‐北をめざした人類の子孫 たち‐(北海道立北方民族博物館)

★北海道立北方民族博物館(北海道・網走)で、開館10周年を記念した企画展 「グレートジャーニー ‐北をめざした人類の子孫たち‐」が開催されています。 「グレートジャーニー」とは、人類発祥の地アフリカをめざして南米最南端のナ バリーノ島から5万キロの壮大な旅に立った関野吉晴(せきのよしはる)氏の探 検を軸に、自然・動物・民族など現在の世界の真の姿を地球規模でとらえ、人類 を含めた生命の進化や適応の謎を解き明かし、考えてゆくもので、その様子は、 毎年フジテレビ系列で放映されています。(次回放映は三月上旬の予定)

♪ 北海道立北方民族博物館の笹倉さんに聞いてみました。

Q1:なぜ開館10周年記念の企画展にこの企画をもってきたのですか?

当館のテーマのひとつである「人類の北への拡散」という部分に非常に合致し ^た点があります。アフリカで発祥した人類が,知恵や技術を身につけ北へ北へ ^とだんだんに広がり,(北で生きる知恵と技術なしには考えられないことなので ^す)アジアの東端に達し,さらにはアラスカ,北米と進んでついには南米南端 ^にまでたどりつく,このルートに関連した探検ということがあげられるかと思 ^います。探検ならどこでもいいというわけにはやはりいかなかったと思います。 ^同じように人類の拡散を扱った展示としては「マヤ展」がありました。

Q2:展示の様子やお客さん反応とかはいかがでしようか?

写真パネルと映像,関野さんが使用した衣服や自転車を展示しています。また 写真パネルは入れ替えを行っています。来館者は(これまでの当館の特別展に はなかったことと思いますが)関野さんのファンという方がいらしているよう です。
問い合わせの数は多いです。関野さんの講演会のときには遠くは兵庫県からい らした方もいらっしゃいました。アウトドア好きの若い方が多いのかなと思っ ていましたが,わりに年輩の方が多かったように思います。講演会後のサイン 会もたっぷり1時間ほどかかりました。
笹倉さんによると、関野さんはこんな感じの方だったそうです。


講演会後に関野さんのお話を職員できく機会がありました。

関野さんは小柄な方で,筋骨隆々というふうではありません。年末に帰国され てからスケジュールはびっしりということで少しお疲れのようでした。≪探検 をサポートしている≫応援団の方があれこれ気を配っており関野さんは探検に 専念できるようにされているようでした。関野さんのお話では,南米から出発 というのは,人類の拡散とは全く逆ルートなわけですが,それ(逆ルート)は すぐに身を持って知ったということです。(風などの)自然にとにかく逆らって 逆らって進むことになっているのだそうで,人類が南米南端から戻らなかった のは理由がありそうということです。それから犬が恐い,ということでした。私には意外だったのですが,野犬など結構いるらしく,また地域によっては番 犬として飼われている犬もおり、みたら逃げるのだそうです。一度負けて怪我 をしたということでした。

※関野さんが探検しているような場所で遭遇する犬とは、人に危害を加える危険 性があるため「犬が恐い」とのことです。

開館10周年記念企画展/グレートジャーニー ‐北をめざした人類の子孫たち‐
 会場/北海道立北方民族博物館 特別展示室
 会期/平成13年1月10日(水)〜3月25日(日)
 開館時間/ 9:30〜16:30(ただし入館は午後4時まで)
 休館日/毎週月曜日 2月15日(水)、3月13日(火)
※企画展だけの観覧は無料です。常設展をご覧になる場合は別途観覧料が必要 です。

個人/一般300円 大学生100円 小中高生は無料
問い合わせ先/北海道立北方民族博物館
〒093-0042 北海道網走市字潮見309-1
TEL : 0152-45-3888  FAX : 0152-45-3889
E-mail hoppohm@ohotuku26.or.jp
[北海道立北方民族博物館URL] http://www.ohotuku26.or.jp/hoppohm/

※企画展に関連した講座「北東アジアの人類史と先住民文化について」が 2月17日(土)13:30〜16:30に開かれます。

[グレートジャーニーに関するURL]
http://www.fujitv.co.jp/jp/kumorepo/g_journey
http://www.nttdata.co.jp/wonder/g_journey/index_j.html


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