■□阪神・淡路大震災の経験と教訓を伝える施設
−阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター−(後編)
震災犠牲者全員の名簿を納めている慰霊のモニュメントを過ぎ、
エントランスからエレベーターに乗り込むと、
まずプロローグとなる4階展示室に向かいます。
■4階展示室 ‐阪神・淡路大震災を映像で伝える‐
導入にあたる「1.17シアター」では、
震災により都市基盤の崩壊していく阪神・淡路各地域の様子を
特殊撮影された大型映像で再現します。
映像を見終わると、
震災で破壊した町並みの一角を1分の1の縮尺で再現した
「震災直後のまち」に続きます。
4階の展示では詳細な知識よりも、どちらかというと大震災の恐ろしさ、
被害の大きさなどを、肌で感じてもらう意図で構成されているため、
展示も可能な限り実寸に近いサイズで表現しているようです。
■3階展示室 ‐阪神・淡路大震災を実物資料と記録で伝える‐
3階展示室では、
震災直後から復興に向けての人々の暮らしや、まちの姿を
市民の協力を得て集めた震災に関わる実物資料と
体験談や手記とともに構成しています。
集められた資料は、火災で熔解した硬貨や
建物の崩壊物で真っ二つに折れたゴルフクラブなど、
被害の甚大さを実感させるものを始め、
復興生活における水・食料の確保や暮らし方の工夫など
日常の場面ではとても思いつかない、
必要に迫られて得たノウハウなどが
関連する資料と一緒に展示されています。
(一つ紹介すると、電気に比べ、ガスの復旧に時間がかかったため、
一部の人たちの間では、熱帯魚の水槽用温水器を使って、
お風呂を沸かしたなど、、、、、)
驚いたのは、震災時の様子や体験を冷静に書き記していたり、
倒壊した自宅を写真撮影している人が、意外にも多く、
展示の中でもたくさん活用されています。
また3階出口付近では震災に関わった人々が、
語り部として来館者に自らの体験を直接語る
「震災を語り継ぐ場」も用意されています。
来館者とのコミュニケーションに一役買っています。
■資料データベースを展示解説に積極的に活用したシステム
このフロアにおける展示解説の最大の特徴は、
携帯端末(カシオ製PDAカシオペアを使用)とバーコードを活用した
「バーコード・ナビゲーター」と呼んでいる解説システムにあります。
システムはおおまかに下記の手順で利用します。
壁面に展示されている実物資料や写真・パネルには
100字程度の簡単なキャプションとキーワード、
分類番号が記されています。
興味のある資料について、詳細な情報を得たい場合は、
資料に付けられているキーワードを
忘れないよう記憶しておきます。
壁面から来館者に一番近い側には、そのキーワードとバーコードが
印刷された小さなキャプションが設置されていますので、
次に、そこから目的のキーワードが付いている
バーコード(キャプション)を探し出し、
携帯端末に読み取らせます。
データのダウンロードが完了すると、
文字(一部では音声も)による情報提供が開始されます。
国連をはじめとする防災・減災に関係した組織が集結し、
世界的な拠点として、
実用的な新しい情報の発信が期待されていることから、
バーコード・ナビゲーターでも、日本語以外の言語
英語・中国語・韓国語による情報提供が行われています。
このことは同時に、集客施設でもあるセンターにとって、
アジアを始めとする海外からの集客が
外すことのできない視点であることを物語っているようです。
■2階展示室 ‐災害・防災に関する実戦的な知識を伝える‐
2階展示室は、現在、発生している災害の状況や
災害・防災に対する市民や行政の取り組みなどについての
最先端の情報を提供する「防災情報コンテナ」や
災害・防災に関する実戦的な知識を
簡単な実験やゲームを通して学べる「防災ワークショップ」
などから構成されています。
消防署によく併設されている防災啓発施設「防災センター」に
近い雰囲気の施設です。
■おわりに
今まで、被災の風化を軽減する目的で建設されたメモリアル的な施設や、
防災意識を普及啓発する施設は多く作られているものの、
センターのように、震災における市民の体験や記録などを
積極的に展示解説に活用している施設はまだ少数と言えます。
以上、駆け足でセンターを紹介しましたが、
博物館の展示と市民参加のあり様について参考になる施設です。
特に3階展示室には、これからの解説計画や展示手法を考える上で、
参考になる要素が詰まっていますので、
時間の余裕を持っての見学をおすすめします。
■施設案内
◎開館時間
10時〜18時(入館は17時まで)金・土は20時(入館は19時まで)
◎休館日
原則的には月曜日休館日(月曜日が祝日の場合は翌日)
夏休み中とゴールデンウィーク期間中は無休
年末年始の12月31日と1月1日は休館
◎入館料金
大人 500円 高校・大学生 400円小・中学生 250円
◎住所
〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2
◎電話
078-262-5050
◎URL
http://www.dri.ne.jp
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