■□図書の紹介
『記念碑の語るアメリカ 暴力と追悼の風景』
ケネス・E・フット 著/和田光弘 他訳
発行:名古屋大学出版会
現在ではアメリカ国立公園局が管理している。
マンザナー国立史跡(Manzanar National Historic Site)。
この収容所跡の墓地に立つ慰霊碑の写真が
カバーの表紙に使われている本書は、
暴力・抑圧・大量虐殺という、20世紀の遺産が、
アメリカの景観に、いかに刻み込まれているのかについて、
関心を持ち、研究を続けている著者がまとめた学術書です。
(著者は、地理学者)
「負の遺産」が、社会や共同体にどのように受容されて行くのか?
多くの「記念碑」建立プロセスの事例を通し、展開していきます。
受容について著者は、「聖別・抹消・選別・復旧」と
4つのパターンに分析しています。
本書自体は、アメリカ社会・共同体について考察ですが、
国内における負の記憶や顕彰行為についてを考える上で、
注目できる一冊だと思います。
***************************************************************
(帯書きより)
アメリカを襲う暴力と悲劇
それらはいかにして景観に刻み込まれ、
社会の記憶を創り上げてきたか。
さまざまな場所が語る物語に耳を傾け、
そのメカニズムを明らかにする。
***************************************************************
目次(抜粋)
第1章 暴力と悲劇の景観
1.景観に刻印された悲劇と暴力
2.聖別
3.選別
4.復旧
5.抹消
6.伝統の創出と記憶の形成
7.地域・地方・国、それぞれの帰属意識の表象
8.景観と記憶 何が忘れられるのか
第2章 英雄と殉教者の崇敬
1.ガーフィールドとマッキンリーの崇敬
2.リンカーン 不滅の英雄の創造
3.ダラスのケネディ
4.他の英雄崇敬
第3章 共同体とカタルシス
1.癒しの過程
2.微妙な配置と意味
3.ジョンズタウンの洪水
4.遡及的意味
5.隠された深い悲しみ
第4章 英雄的な教訓
1.バンカーヒル
2.ゲティスバーグ 反乱の上げ潮
3.ヘイマーケットの教訓
4.さらなる教訓
第5章 無垢な場所
1.イロコイ劇場火災
2.イーストランド号転覆事故
3.非難の隠蔽
4.他の災害の事例
5.救済する景観 別種の記憶のかたち
第6章 恥辱の痕跡
1.恥辱の力
2.恥辱を与える他の要因
3.受動的抹消と能動的抹消
4.復旧が選択される場合
5.場所に対する変則的な対応
6.場所の病理学
第7章 記憶と伝統の景観形成
1.テキサスの記憶
2.シカゴの四つの星
3.モルモン教徒の荒野への逃避行
4.形ある伝統へ
第8章 ナショナル・アイデンティティの刻印
1.宇宙論・市民宗教・伝統の刻印
2.ボストン虐殺と聖なる曖昧な発露
3.ハーパーズ・フェリーと「景観の聖遺物箱」の創造
4.真珠湾とその意味の問題
5.選択性・ヒエラルキー・慣習
第9章 見えない暗い過去
1.未確定な意味
2.慰霊碑なき犠牲者 アメリカの労働者の台頭
3.アメリカの強制収容所と他の不正事件
4.対立する意味
5.暴力の影
毎日新聞の書評
http://www.mainichi.co.jp/life/dokusho/2002/0915/03.html
NHK週間ブックレビューの書評(2003年01月19日の放送)
http://www.nhk.or.jp/book/review/index.html |