<文化環境研究所 News> 第72号
2003.10.31発行

−お知らせ−

■□新刊図書のお知らせ
  『未来をつくる図書館 −ニューヨークからの報告−』岩波新書
  菅谷明子:著 岩波書店:発行 価格:700円

国内で「図書館ってどんなところ」と質問したら、
大抵の人が「図書を借りる場所」、「受験生が勉強する場所」
などと答えると思います。
この本では、海を隔てたニューヨークの公共図書館で、
数年にわたる取材をベースにまとめたものです。

ニューヨーク公共図書館では
ビジネスの起業や芸術の支援、医療情報など、
図書の貸し出しだけでなく、
市民の個々の課題を解決する情報提供が人を介して行われています。
地域密着した図書館の運営、ITを活用した情報提供など、
どのような場面で提供されているのか。
経済優先ではない情報化社会の意味と可能性を探った一冊です。

●目次抜粋
序章 図書館で夢をかなえた人々
第一章 新しいビジネスを芽吹かせる
1 最先端のビジネス図書館
2 行き届いた多彩なサービス
第二章 芸術を支え、育てる
1 舞台芸術を支援する図書館
2 書簡から舞台セットまで多岐にわたる資料
3 図書館を仕事に活用する俳優や歌手
4 ミュージアムとして、情報センターとして
5 ビジュアル時代に対応した図書館
第三章 市民と地域の活力源
1 評価を高めたテロ事件への対応
2 高まる医療情報へのニーズ
3 未来を担う子どもを地域で育てる
4 高齢者・障害者に向けたサービス
5 多文化社会の活力の源
6 市民社会を支える行政情報の窓口
第四章 図書館運営の舞台裏
1 図書館のなりたち
2 資金集めとその戦略
3 図書館のブランド戦略
第五章 インターネット時代に問われる役割
1 デジタル化に変わる図書館
2 発信する図書館へ
3 図書館が創る学びのコミュニティ
4 情報を紡ぎ、未来の文化を作る
むすび −日本の図書館を「進化」させるために


■□新刊図書のお知らせ
  『図書館を遊ぶ エンターテインメント空間を求めて』
  渡部幹夫:著 新評論:発行 価格:2000円(税別)

新評論ホームページから転載させていただきました。

>「図書館を遊ぶ」と聞けば、不謹慎だと思われる方が多いと思います。
>というのも、図書館は勉強する場であるというイメージが
>多くの人の中ですでに出来上がっているからです。
>しかしながら、図書館法の第2条には、
>図書館の目的の一つに「レクレーションに資する」と明示されてあります。
>それにもかかわらず、これまでにレクレーションの場として
>図書館をイメージした人は皆無かと思います。
>現在、公立の中学校は全国に約10,400校ありますが、
>公立の図書館は約2,500館しかありません。
>ということは、8,000近い中学校区に図書館がないことになります。
>私はこれまで、一中学校区に一つの図書館を造ることを目標として
>図書館づくりに関わってきました。
>何故ならば、義務教育(中学校)を終えた後、
>生涯にわたって学びを実践していく場として
>図書館が最適であると思っているからです。
>高齢者となっても、そう遠くない距離、
>つまり日常の生活圏内に図書館があれば誰でも使い易い施設になるのです。
>本書が、未設置となっている約8,000の中学校区において
>図書館づくりの参考になればと思っております。

●目次抜粋
はじめに
第1章 図書館はいま
    日本の公共図書館の現状
    多様な図書館のイメージ
    あなたが利用している図書館はどんなところ?
    多様な可能性を秘めた図書館
    住民の求める図書館
第2章 図書館格差
    住民と行政でつくる図書館
    自治体間の格差
    誰のための図書館か
第3章 図書館をつくる
    中学校区に図書館を
    どうしたら図書館建設に向かうのか
    過疎地での手探りの図書館づくり
    海に囲まれた小さな町の図書館づくり
第4章 愛知川での図書館づくり
    計画から実施に向けて
    ハード面とソフト面をどうするか−三つの図書館開設と運営を通して−
    建物の位置と規模
    天井高
    壁材
    床材
    部屋構成
    窓および進入路
    費用
    職員の採用
    選書
第5章 住民参加を促す図書館行事
    閉館後に必要とされること
    ロケーションにあった企画
    ビオトープ空間の定着に向けて
    図書館の前に広がる田園風景
    最初の音楽的な催し
    幅広い参加が得られた企画
    人と人とのつながりの上に成り立つ企画
    図書館から町づくりへ
終章 図書館の自立−まとめとして
   図書館の生きる道
おわりに−あとがきにかえて
愛知川町立図書館管理運営規則


■□新刊図書のお知らせ
  『アーカイブ事典』
  小川千代子・高橋実・大西愛:編著 大阪大学出版会:発行
  価格:2500円(税別)

目次抜粋

はじめに アーカイブと文書館・資料館、そして資料と記録史料

第1章 文書館概論
1 記録文書は歴史の証言
2 古代から整っていた日本の文書管理のしくみ
(1)官の文殿−古代の文書保存
(2)武家の文書
(3)近世の文書主義
(4)明治期の文書保存とアーカイブの知識
3 文書館の資料
(1)文書館資料とは何か−記録史料概論−
(2)文書館資料を活かす−地域の試みから−

第2章 現代の文書館
1 世界の文書館の趨勢
2 日本の文書館の動向

第3章 公文書の保存と公開
1 国の公文書と国立公文書館
2 情報公開と公文書
3 地方自治体の文書
4 公文書管理の問題

第4章 多様なアーカイブ
1 家族の資料
2 学校のアーカイブ
3 科学研究とアーカイブ
(1)カナダの研究所で
(2)国立研究機関での試み
(3)日本の知的基盤の整備と最近の動向
4 区有文書と財産区・自治会の史料
5 企業のアーカイブス
6 阪神淡路大震災の資料
7 公害・環境問題の資料

第5章 文書館の運営
1 公文書館法と諸館の条例にみる文書館の事業
2 収集、整理、保存
(1)文書館が対象とする資料
(2)収集
(3)整理
(4)保存
3 利用、研究、普及
(1)利用、閲覧
(2)調査、研究
(3)普及、啓発

第6章 文書館へようこそ
1 文書館へようこそ
2 利用者を育てる文書館
3 貴重文書と利用者の距離

第7章 文書館専門職
1 文書館専門職とは
(1)文書館専門職の仕事
(2)専門的な知識・技能の必要性
(3)文書館専門の地位と資格
(4)アーキビスト養成制度の課題
2 海外の専門職養成制度
(1)欧米の専門職養成
(2)アフリカ・アジアの専門職養成
3 日本の専門職養成
(1)公文書館法に義務づけられた専門職
(2)養成制度の検討と運動
(3)現職者への研修と大学での講義
4 日本のアーキビスト団体
(1)全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)
(2)その他の協議会と国際交流
5 アーキビストの倫理

第8章 資料保存の科学
1 資料保存の原則
(1)保存科学の発展
(2)史料保存の原則
(3)保存管理の理論と実践
2 紙資料の劣化要因と対策
(1)生物被害
(2)科学的劣化
(3)物理的劣化
(4)資料の保存環境
3 資料の保存計画
(1)資料の保存計画を立てるには
(2)資料の劣化状態調査をおこなう
(3)調査の結果を分析する
(4)保存計画を立てる
4 資料の修復
(1)修復の4原則
(2)和紙資料の修復方法
(3)洋紙資料の修復方法
(4)特殊な劣化資料の修復法
(5)修復後の保管
(6)修復を外部委託する場合の留意点
5 保存科学の発展と紙資料
6 文書館における修復保存室の役割
(1)文書館の資料保存業務
(2)実際に行われる作業
(3)修復保存室の実際
(4)修復保存室設置への提言
7 地球環境と史料保存

第9章 紙等を媒体とする記録技術
1 記録素材の歴史と紙に書かれた記録
(1)記録素材の歴史
(2)複写の変遷
(3)紙の将来
2 洋紙とインク
3 酸性紙・中性紙・再生紙
(1)酸性紙と中性紙
(2)再生紙
4 写真技術の変遷と写真の保存
(1)写真技術の歴史
(2)写真の保存

第10章 マイクロフィルムとデジタルアーカイブ
1 マイクロフィルム
(1)マイクロ画像の品質
(2)マイクロフィルムの種類
2 電磁記録媒体
(1)(光)磁気記録媒体と光記録媒体の違い
(2)光記録媒体の再生原理
(3)光記録媒体の取扱い方法
3 媒体と媒体変換
4 デジタル化画像の品質と寿命
(1)デジタル化画像の品質
(2)記録媒体の寿命
(3)情報の寿命
(4)マイクロフィルムの保存条件
(5)デジタル画像の表示装置とソフトの耐用性の確保


−今号の話題−

■□北海道にある「サケ科魚類をテーマにした」施設
  幌市豊平川さけ科学館[札幌市]
  千歳サケのふるさと館[千歳市]

私たちの食卓にも、よく登場する「サケ」
とても身近な魚でありながら、
その生態について、あまり知らないのではないでしょうか?

サケが回帰・産卵するシーズン真っ只中の現在。
今号の話題では、
北海道にある「サケ科魚類をテーマにした」施設を紹介します。

サケについて来館者が興味関心を持ち、学ぶ
様々な情報が提供されています。
今のシーズン、二つの施設では、
施設の中でサケの回帰や産卵行動の観察ができます。

◆札幌市豊平川さけ科学館[札幌市]

札幌市のほぼ中央を流れる豊平川。
シロザケの回帰・産卵する世界的に見ても稀有な都市河川です。
1970年代中頃、札幌市内を流れる豊平川の浄化を機会に、
市民による「カムバックサーモン運動」が始まり、
1981年からサケの遡上を確認することができるようになりました。

これを機に、1984年10月
「サケについての学習の場」を市民に提供するため
豊平川とその支流、真駒内川に挟まれた場所に
札幌市豊平川さけ科学館は開館しました。

入り口付近にはサケの産卵行動の断面模型が設置されています。
近年、効率を優先した河川整備が、
生き物の生息空間の減少につながっているとの指摘がありますが、
なぜサケにとって石がごろごろとした河床が必要なのか、
空間としてイメージ、認識できる非常に良い模型です。
展示の視点としては、
都市河川に生息する野生生物としてのシロザケを中心に、
サケ科魚類の飼育展示と生態に関わる展示、
豊平川の水生生物や河川環境についての知識を
得られる展示で構成しています。

今の季節、屋外にある観察池では11月下旬まで、
休館日以外の毎日(9:30〜15:30)の間
サケの産卵行動を展示しています。

底の部分に石を敷き詰めた池に
サケのオスとメスを入れ、産卵をさせています。
メスが産卵のため穴を掘る様子や、
オス同士のメスをめぐるけんかなどが、
目の前で観察できるのが見所です。
産卵の瞬間は1日に1〜2回しかなく、
産まない日もあるそうです。

さけ科学館の近くの支川では、
9月末ぐらいにサクラマスの参考行動が観察できます。
また市内の下流域ではサケの遡上がみることができます。
関連情報はこちらのページ≪↓≫で確認できます。
http://www.sapporo-park.or.jp/sake/misc/salmdata.html

札幌市豊平川さけ科学館/札幌市南区真駒内公園2-1 TEL: 011-582-7555
開館時間 午前9時15分〜午後6時45分
休館日 毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は次の平日に移動)
入館料 無料
URL http://www.sapporo-park.or.jp/sake/

◆千歳サケのふるさと館[千歳市]
日本における近代的なサケ・マス孵化放流事業が発祥した「千歳川」。
JR千歳駅から徒歩10分ほど、
千歳川のほとりにあるインディアン水車公園の中に、
平成6年、千歳サケのふるさと館が開館しました。

サケ・マスを中心に
北方圏で生息する淡水魚の生態や成長過程を観察できます。
また水産資源の保護や河川に関連する情報を
展示などで提供しています。
施設的な特徴としては
インディアン水車と千歳川水中観察室があげられます。

年間およそ30万尾のサケを捕獲する「インディアン水車」は、
孵化事業に用いるサケの親魚を捕獲するため、
毎年秋のみ千歳川に設置されます。
コロンビア川とインディアンのサケ漁が結びつき、
昭和40年頃から一般に
「インディアン水車」と呼ばれるようになったこの捕魚車は
明治時代、千歳孵化場の伊藤一隆氏が
アメリカ研修時代にコロンビア川で見たフィッシュ・ウィル(捕魚車)の
設計図を日本に持ち帰ったことから導入が実現しました。
現在では、このユニークな漁法を一目見ようと、
大勢の見学者が千歳に訪れ、
北海道の秋の風物詩として親しまれています。
「千歳川水中観察室」は、
千歳川の護岸の一部を活用した「千歳川」の、
川の中の様子が観察できるスペースです。
川の左岸30mにわたって、
縦1m,横2m、厚さ8.5?のアクリル製の窓が7つ
水の中に設置され、
千歳サケのふるさと館の地下1階から観察できるようになっています。
今の時期は、千歳川に遡上するサケを水中から観察できます。

ネット上でも観察室から見た千歳川の様子が≪↓≫配信されています。
http://www.city.chitose.hokkaido.jp/tourist/salmon/f_kansatu.html

千歳サケのふるさと館/千歳市花園2‐312インディアン水車公園内
TEL:0123-42-3001
開館時間: 9:00〜17:00
休館日:2003年度は12月26日〜1月9日
入館料: 大人(高校生以上)1,000円・小人(小・中学生)500円
URL: http://www.city.chitose.hokkaido.jp/tourist/salmon/index.html



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