| | 1 | 2 | 3 | 4 | 次のページ | |
| 滋賀県立琵琶湖博物館で2000年2月24日から27日の4日間にわたって、「博物館を評価する視点」というテーマのワークショップとシンポジウムが開催された。本稿でレポートするワークショップ「琵琶湖博物館を評価する」は博物館学芸員を始め、展示開発に携わる人々を中心に約35名の参加者で前半2日間で実施された。 「博物館からのメッセージが正しく来館者に伝わっているか」がワークショップのテーマである。そのため「来館者と博物館とのコミュニケーションを成立させる」ことを目標に据え、利用者主体の評価や検証を学んだ。このワークショップ終了後には利用者主体の評価や検証の「目的設定」と「結果分析と活用」が自身の関わる博物館でできることをねらいとしている。今回講師として、コロラド大学自然史博物館で展示開発に取り組むブライアン・マクラーレン氏、コロラド州立大学心理学部教授のロス・J・ルーミス氏、そしてフランクリン科学博物館の評価部門でディレクターを務めるミンダ・ボーラン氏の3名が来日し、ワークショップの指導にあたった。 |
| ■「来館者を知る」こと |
| 今回手ほどきのあった「展示開発における展示評価」は、評価スタディと展示デザインを融合させた点に特徴がある。評価実施フェーズは「展示開発における設計前の企画段階(Front-end evaluation)」「展示開発における設計および制作途中段階(Formative evaluation)」「展示開発が終了し設置後の段階(Summative evaluation)」以上3段階にわけて様々な手法でおこなわれるようである。ワークショップでは時間の制約上、琵琶湖博物館「C展示室」における展示を制作途中の試作品と見たて、「展示開発における設計および制作途中段階」に焦点をあてた評価と検証を体験した。 ルーミス氏率いるグループ1は、C展示室中央部「環境とはなんだろう」へより多くの人を集めるための改善策を考えた。「環境とはなんだろう」は博物館の伝えたいメッセージが色濃く反映されている展示であり、博物館側としては是非とも見て欲しい展示である。しかしC展示室は円形でかつ自由動線ということで、多くの来館者が展示に到達する前に、つぎの水族展示に移動してしまうコミュニケーションの不成立が発生している。グループ1は、「環境とはなんだろう」のメッセージを来館者に伝えるために必要な改善を課題とした。そこでまず来館者がフロア内をどのように移動し滞留するか把握するため追跡調査をおこなった。来館者個々のデータは平面図上に記録され、評価検証の分析用データとされた。分析の結果、ロープパーテションなどを使って強制的に中央部分に誘導すること、サインなど来館者の目をひきつける展示アイテムを配し、改善をおこなった。 一方、グループ2と3では「農村のくらし」と「蛇口のあるくらし」において展示のメッセージが正確に伝わっているか調べ、その結果を元に展示の改善をおこなった。筆者が加わったグループ3の「蛇口のあるくらし」では、まず来館者がどのように展示を観るかその行動観察から始めた。展示の観覧を終了した来館者に対して、1. 伝えたいメッセージが盛り込まれている展示(蛇口のあるくらしではタオルに印刷されているグラフィックがあてはまる)を観たかどうか、2. 展示を観て博物館側の意図したメッセージを理解したかどうか、3. 展示について興味をもったことやこうしたらもっと良くなるという意見を簡単なインタビューにより聞き取り、改善の検証に役立てた。 分析後の改善策としては、メッセージが盛り込まれているグラフィックの位置を目にとまりやすい位置に変更したり、琵琶湖とのつながりがイメージできる展示の試作品を制作設置し、ふたたび来館者のデータを収集した。 「展示開発における設計および制作途中段階」でのねらいは、ビジターが「目に見える展示物を見る」ことではなく、「目に見えない情報を理解できた」かが最大のポイントである。しかしこのねらいに来館者を至らせるためには、評価や検証が推進できる能力開発と同じぐらいに、メッセージを伝えるための情報解説スキルと伝達メディアを選択する目を身に付ける事が必要である。 |
|
|
||
|
|
| | 1 | 2 | 3 | 4 | 次のページ | |