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| 「自分が何が好きか」を 見つけることの大切さ |
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斉藤――ボストン・チルドレンズ・ミュージアムに行かれた、そもそものきっかけは何ですか。 |
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三木――私は神戸に生まれ育ちましたが、小学校4年の時に兵庫県立近代美術館が家から歩いていけるところに出来たんです。高校を卒業するまで美術館に入り浸っていました。いま振り返ると小学校5年と6年の時では同じ作品がずいぶん違って見えるので面白かった。その間の成長が作品を見る目を変えさせたんです。美術展示が持つ力に興味がわいて、大学では経済と美術史を勉強しました。でも実は美術の勉強より、展示を媒介にして人が集まったり、そこで何かを感じる、ミュージアムという場そのものの力に興味があったんです。でも日本では人々に役立つミュージアムのありかたを勉強することはできなかった。 探してみるとボストンのチルドレンズ・ミュージアムが、学生や大学院生をインターンとして迎え入れ、集中的に博物館教育の現場トレーニングをしていることが分かりました。当時は一九一三年の創立から七五年たっていましたが、スタッフが一五〇名で年間50万人の来館者がありました。幸いに多数の応募者から有給インターンに選ばれ、6ヶ月間トレーニングを受けました。1日に3時間は専門家からさまざまなトレーニングを受け、残りの半日はギャラリーに出てお客さんの展示理解をサポートする実践に当たりました。残念ながら、今はこの制度はありません。当時はまだお金をかけて人を育てる余裕が博物館にあった時代でした。毎日ギャラリーに出て働き続ける中で、すでに来館者研究の洗礼を受けていたんですね。この時、ギャラリーでの来館者の生の声を展示の企画制作過程に活かす経験を積んだのです。その経験が、いつも日本でワークショップをする際に、来館者の実際を知ることが大切だと言い続ける源になりました。インターン中に正規の学芸員に採用された後も、このボストンの5年間は現場を一番勉強できた時代でした。 |
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斉藤――これを伝えたいという計画者側の意図をメディアとして展示するだけではなくて、チルドレンズ・ミュージアムはむしろ子どもたちのなかにある創造性をいかに出してあげるかということがメインのように感じますが。 |
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三木――ギャラリーで「試す」ことに膨大な時間をかけるんです。それによって一つのメッセージを伝えるのにいろんな方法があることを作り手として体感する。たとえば子どもや親、学校グループなどさまざまなレベルの人たちに対して同じメッセージをどう伝えるか試す。来館者の反応を見ながらデザインや問いかけの言葉を変えていくプロセスについて鍛えられました。 |
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斉藤――目指すべき目的は、メッセージを伝えることなのか、それとも子どもたちが感動した、楽しんだということなのでしょうか。 |
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斉藤――一回行ったらもういいやというのではなくて、同じ絵でも来る度に見方が変わって違う発見があるということもありますね。 |
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三木――子どもは自分がやったことをもう一回確認するのが大好きなんです。自分がやれたことをまたやりたい、一回だけで満足する子どもはいない、何回もくりかえしてやるんです。自分で工夫したらどんどん面白くなる。それも工夫しようと思ってやっているんではなくて、何回もやっているうちに、新しい発見があって、それを面白がるんです。それに耐えられる展示が、チルドレンズ・ミュージアムの基本です。子どもが飽きないように、ひとつの展示でも見かたを変えれば新たな発見があるように改良して、輝きを保たせられるように工夫を重ねます。ですからがっしり作りすぎて手を加えられないでは困りますね。 |
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