現代水族館事情
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アメリカの水族館−水槽からランドスケープへ− 大阪芸術大学環境計画学科助教授若生謙二
北米大陸北西部の海岸を再現したポイントデファイアンス動物園・水族館の海岸地区。
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テネシー水族館の外観。

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渓谷の展示。(テネシー水族館)

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サイプレススワンプの展示。(テネシー水族館)

水族館という言葉で連想するのは、ガラス張りの水槽のむこうに泳ぐ珍しいさまざまな魚の姿であろう。実際に水族館の展示の歴史は、水に中にくらす水棲生物の姿をいかに眺めるかという技術の展開でもあった。それは、潜水でもしなければ眺めることができない、魚類の遊泳する水中の風景を日常化したものであった。

 ところで、水族館が展示の対象とするのは、水圏を生息の場とするすべての生きもののくらしであり、魚類だけではなく、哺乳類やペンギンなどの鳥類の他、爬虫・両生類やカニやヒトデ等多くの無脊椎動物もふくまれている。人々が水に潜ることなく、こうした水棲動物に出会うことができるのは、水辺や岸壁、船上などの野外である。水棲動物との遭遇の場面は、実際の生活では、水中でも屋内でもなく、水面や水際を眺めることのできる野外でうみだされることが多い。

 水族館や動物園の展示の先進国であるアメリカでは、生きものの生息する場に入り込んだ臨場感をかもしだすランドスケープ・イマージョンという展示手法が展開されている。ランドスケープとは土地とその風景の意味であり、こうした展示は、野外で行われることに意味がある。

 イマージョン展示の初期の秀作に、園の再生事業として一九八〇年につくられた、ワシントン州タコマ市にあるポイントデファイアンス動物園・水族館の展示がある。その名前が表しているように、ここにはガラス展示を中心とした屋内式のいわゆる水族館が園内に配されているが、北極のツンドラ地区をはじめ生息地別配列をとりいれた園内には、動物園と水族館の境界の不明確なエリアがある。ピュージェット湾に面した岬にある地の利を得て設けられているアメリカ大陸北西部の海岸地区である。


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