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水野聖子プロフィール→

 高知市から西へ100キロ、黒潮寄せる太平洋に面した人口10500人の町、大方町。目にとまるのは、青い海と長くきれいな砂浜、そして緑鮮やかな松原がつくる気持ちのいい空間です。
私たちの町には美術館がありません。
美しい砂浜が美術館です。
 ただの砂浜を頭の中で美術館と考えると、不思議なことに創造力がわいてきて、ふだん何気なく見過ごしているものがとても新鮮に見えてきます。あたりまえのものがかけがえのないものに思えるとき、「美術館」は人々の心の中に存在するのです。4キロ続く砂浜が「床」、澄んだ空気が「壁」、「天井」は真青な空。波の音がBGMで、照明は太陽や月の光。波や風がデザインする砂模様、流木、浜辺で遊ぶ子どもたち、無限に広がる作品は時とともに変化し、二四時間・三六五日展示されています。いかに精神的な豊かさを持って、楽しく、気持ちよく暮らしていくか――。砂浜美術館はそれを考えるひとつのものの見方です。そして、この考え方を実践し、たくさんの人に伝えるために、自然や人、さまざまな地域の資源を活かした企画を行っています。

 毎年五月の連休に開催する「Tシャツアート展」は砂浜美術館のコンセプトを表現した代表的な企画です。公募のイラストや写真をプリントしたTシャツを展示する催しですが、ただのアート展ではありません。浜辺に杭を打ち、ロープをはり、洗濯物を干すようにTシャツを並べるのです。波が寄せるとTシャツは砂に映り、風が吹けば一斉に踊りだす。雨が降っても大丈夫。晴れたら自然に乾きます。作品は全国各地から寄せられ千点を超えます。Tシャツ1枚1枚も作品ですが、壮観な風景全体もひとつの現代美術として鑑賞することができます。ふだんは何もない砂浜をたくさんのTシャツがひらひらと舞う――。実際にその空間を目にした人は、きっと「美しい砂浜が美術館です。」というメッセージを実感してくれるでしょう。千枚のTシャツは、展示が終わると潮の香りと一緒に応募者のもとに届きます。
Tシャツアート展
全国から寄せられたデザイン画をオーガニックコットンTシャツにプリントして展示。
1000枚を超える Tシャツがひらひらと舞う。


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