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| 現在、世界120ヶ国から7万点の収集品がありますが、これだけあるといろいろな切
り口でコレクションが成り立つわけです。今、私どもでは「世界の鳥の造形」という
タイトルで展示をしております。世界各地の鳥の笛とか、500点ぐらいの鳥の玩具が
並んでいますが、一同に集めるといろんなことが見え、面白いです。一般的には玩具
は子供の遊ぶものと低い価値しかありませんが、将来的には美術的な面、造形的な面
でも玩具が評価される時代がくるのではないかと私は思います。面白い形のものがい
っぱいございます。だからこそ、今のうちに消えていこうとしているものを一つでも
多く集めておきたいのです。 ひとつの国で500点以上ある国もいくつかありますがその一つに、ロシアがありま す。私たちが集めたのは、ソ連がまだ健在な頃で、当時は民芸品業者が一括して輸入 しておりました。今はそれがありませんから、ロシアの民芸品を手に入れることは困 難です。またソ連の民芸品の窓口になっていた商社が将来的には展示場を作る予定で かなりの収集をされていましたが、「井上さんのところで保存してもらえるのならば 譲りたい」という有り難いお話があり、それも購入しました。他にもメキシコは1000 点をこえると思います。このように大きなコレクションの数々を築きあげてきたわけ ですね。 小さな博物館ではありますが、約200〜300万円の年間予算で収集しております。話 をお聞きしますと、地方の民俗博物館とか、公立の歴史資料館は意外と収集予算を持 っていないそうです。「建物を作りましたから、皆さん資料をください」という姿勢 のところが多いようですが、これでは良いコレクションは絶対に築けません。やはり、 目的を持って、コレクションを続けていかないと駄目だと思います。 コレクション は富を生み出すと思います。私どもはおそらく日本最高のちりめん細工コレクション を持っております。江戸時代や明治の古いものを含めて3000点以上持っております。 一昨年、大阪の阪神百貨店で8月7日から一週間ほど、依頼されて展覧会を行なったと ころ、有料にも関わらず、2万1000人が入場されました。一日で3000人を動員する力 があるのです。多くの人に来ていただいたおかげで、私どもも百貨店側からお礼をい ただきましたが、これが次のコレクションを購入する資金となります。建物はいかに 立派でも貸すわけにはまいりませんね。コレクションにはこのような力があるわけで す。 私どもの建物は一号館から六号館まであります。一号館は入り口の館ですが、春夏 秋冬で四回入れ替わります。今は鳥の展示ですが、7月になると神戸人形を始めとす る世界のからくり人形の展示となり、秋にはお祭り関係の玩具が並びます。 一号館 では一回の展示に350〜500点が並びます。六号館は年に三回入れ替えます。春は雛人 形展、秋はクリスマス展というのが恒例です。展示ケースの長さは約30メートルあり ますから、一回の展示で800〜1000点あります。来館された方は展示の量と質に満足 されます。私どもの入館料は500円です。高いという声はありません。来館者の感想 ノートを読むと、「見応えがあった」と満足感を得ていただいているようです。企画 展を年に7回行いますが、その中にはヒットする企画とそうでない企画があります。 私たちはできるだけ、季節にあわせた企画をと考えています。というのは、季節感が あるものはテレビや新聞にわりと取り上げられやすいのです。そうした季節感がある ものを出しながら、その間に質が高く、「こういうものもあるのだ」と世の中に問う ような展示を挟んでやっている次第です。 個人経営の博物館であるため、展示にお金をかけられないわけですが、職員一同で 工夫しております。例えば展示ごとにケース内の床のクロスを変えるとか、単に一列 に並べるのではなく、高低をつけ、リズム感のある展示をするとか、物語性のある展 示を心がけるなどしているのですが、これが結構評判が良いのです。私どもはヨーロ ッパやブラジルなど、海外の博物館を見ておりますが、それに比較すると日本の博物 館の展示はどうしても単調なものが多いのではないでしょうか。シアトルの歴史博物 館の展示場を見ましたが、すごく勉強になりました。もちろんアメリカのように展示 専門のデザイナーがいるわけではありませんから、真似はできないのですが、学芸員 がそれなりの研究をしており、来館者から「楽しい展示ですね」と言われるまでにな ってきたと思います。 |
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