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| 99年8月に東京都が「東京都政策指標の開発にむけて」という報告書を作りました。
東京はあまたある施策をやっていますが、それを12の柱に束ね、さらにその全体を99
の政策指標(ベンチマークス)へとかなり強引に落とし込みました。ベンチマークス
を作る意義について、東京都はこの報告書で5つほど述べています。第一に個別の政
策分野ごとに現状および目標が一目瞭然になることです。例えば、レジュメにあるよ
うに、特別養護老人ホームの入所を待っている高齢者の数はどのくらいであり、過去
は何人いて、数年後には何人にしたいのかがわかります。このように現状と目標が一
目瞭然でわかります。第二に政策について議論する際、共通の土俵が提示できること
です。情報は行政側にばかりあり、利用者側はなかなか得られませんでした。すべて
とは言わなくても、代表的な指標があれば、取りあえず行政と住民との共通の土俵が
持てるのではないか。それが二番目の意義です。第三に達成度が低い分野が明らかに
なり、予算や人員の重点的な配分・配置が可能になることです。第四に担当部局が予
算獲得主義から成果重視主義に転化することです。ベンチマークスはすべて成果を問
う指標です。予算として何億円獲得するとか、建物を何件建てるとかというのではな
く、利用者側の視点にたった成果の指標ですから、これによって予算獲得志向から脱
却できるのではないかという考えです。第五に目標値を達成できない場合は、その理
由を説明する責任が強く求められることです。マスコミにも住民にもその目標値が明
らかになるのですから、いつまで経っても達成できなければ、議会その他で説明が求
められるでしょう。 東京都が勝手に99の指標を決めてやっているのならばあまり意味はないのですが、 はじめに東京都側が229の指標案を用意し、サンプリングした都民に渡して、その229 の中から適当なものを選んでもらい、人気が高かったものを集めたそうです。今後は、 都・有識者・都民が加わったオープンな会議で指標のランクづけや入れ替えを議論し て、よりよい土俵を作るシステムだそうです。これはその気になれば、博物館でもで きる話ではないでしょうか。この事業にはこのぐらいの予算を使ったというインプッ ト的なものではなく、この事業を行うことで住民の意識がこのように変化したとか、 こういう満足感を得たとかというアウトプット的な指標を博物館版として網羅するこ とができれば良いのではないでしょうか。外部の目が加わっているので、先ほどの総 括的評価とはまた違った可能性があるのではないかと思います。 ここで「こんな事業ならば、こういうものがアウトカム指標にできるのではないか」 というサンプルをレジュメにあげてみたのでご紹介します。展示の観覧者数(アウトプット)よりもアウトカム、例えば展示が持つ来館者への訴求力とか、その後の学習 状態の変化、普及事業ならば参加後の意識や行動の変化を数量的に押さえることがで きるならば、博物館でもベンチマークスを作って評価を行うことが可能ではないかと 思います。 三番目の評価手法は登録基準です。博物館基準研究会というグループがお出しにな った、イギリスの博物館登録制度に関するレポートがあります。「これは評価とは違 う」とおっしゃる方が多いと思います。日本の博物館法上、登録基準は四つしかあり ません。それ以外に文部省が昭和48年に出した、公立博物館の設置および運営に関す る基準があります。しかし、それらは都道府県の博物館にはこれだけの面積が望まし いとか、年間何日オープンするのが良いとか、学芸員は何人以上が望ましいといった 質というより量に関する、しかも大雑把なものであり、これが博物館基準になるとは とても思えません。私がイギリスの登録基準を見て「これは評価システムだ」と思っ たのは、例えば登録基準の中のコレクション方針の章で、収集方針と処分方針につい て書かれた文書があるかというのがあります。収集方針は各博物館にあるでしょうが、 それが具体的に書かれた文書がきちんとあり、処分についてもどう考えているのかが 問われています。私が厳しいと思ったのは、ドキュメントの登録に関する部分です。 未登録のコレクションをなくすための計画はあるのか。実際、どの博物館も登録が追 いつかないと思いますが、それをどういう計画でなくすつもりなのかを具体的に書か せるわけです。 |
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