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 ところで『日経流通新聞』の記事に「ジバラン」という格付け評価のホームページ があることが紹介されました。ジバランのHPには「このレストランガイドは普通の サラリーマンとその家庭が覆面でレストランを採点し、そこが価値のある店かどうか を見極めようとするものです」と説明しています。つまり「自腹(ジバラ)で損をし ないレストラン・ガイド」だそうですが、フレンチレストラン、イタリアンレストラ ン、環太平洋ワインの三つが評価されています。その評価基準ですが、こんなことが 書いてあります。「一年に一回ぐらい行く高級レストランに何を望むのでしょうか。 私たちはそのことをずっと考えていました。一年経ってもニコニコと思い出せるよう な楽しい、気持ちよい時間を過ごしたい。頻繁にいけないならば、丁寧だけれども無 難な料理、まあまあだけれどもポイントのない料理ではなく、思い出に残る印象の強 い料理を食べたい。帰る時にまた来ようと言えるレストランであって欲しい。」利用 者による格付け評価をする時の鉄則だと思いますが、ジバランではまず評価基準を明 確に出しています。値段に見合う良い時間が過ごせたか。思い出に残る印象的な料理 があったか。また自腹で来たいと思うか。以上3つを各10点とし、30点満点で格付け をしています。あまり点数が高くなかったある大阪のレストランについての評価者の コメントには「モダンなインテリアとともに、都会的な洗練された非日常空間を巧み に演出しているが、ワイン選びの時、関西では名のしれたベテランソムリエの対応に は満足しかねる。このクラスのレストランならば、そのワインがどういう味で、注文 した料理とどのようにあうのかをしっかりとコメントしてほしい」「年輩のソムリエ だけがちょっと澱んだ動きだった。ワイン選びはいまひとつ楽しめなかった。もうち ょっと積極的に客に接して欲しい」というものがありました。このように厳しいこと も書かれています。なかには非常に細かな注文をつけている評価者もいます。例えば 「帰る時、店の人が玄関までお見送りに来るのですが、あと50センチ近づいて、親近 感を与えて欲しい」とまで言っています。このように利用者が利用者の視点のみで勝 手に言っているわけです。澱んだ動きと指摘されたソムリエもたまたま体調が悪かっ たのかもしれません。でもそういったことは利用者には関係ありません。利用者から 評価されることで自分が全体の中でどういう位置にあるのか。どこが利用者からよく 思われていないのかが明確になるわけです。その意味ではこういう評価があっても良 いのではないかと思っています。
 最後にまとめますと、総括的評価は内部の職員が中心となった検証作業です。ベン チマークスは利用者も評価に参加するように外部的な要素が入っています。登録基準 は権威ある機関による評価行為です。このようにそれぞれあるのですが、私も学生か ら低く評価されたならば、「いや、自分は研究をしっかりやっていて良い論文を書い ている」と良い面も認めてもらいたいわけです。それは博物館も同じでしょう。評価 手法がひとつだけでは、評価結果が悪いときに行き詰まってしまう場合があります。 その点からもいろいろな評価基準や評価手法が混在することが望ましいと思います。 先ほど紹介したマッキンゼーのフォーラムで聞いた講演の中に、ある会社が社員の能 力評価をひとつの基準で行った時、100人全員がその評価に満足する時は、かなりの 者が自分を偽っていて、幹部に反発・反論できない空気が支配していて好ましい状態 ではない。50%の人が「その評価はおかしい」と言ったならば、その評価基準自体が おかしい。70〜80%の人間が納得して、残りの人たちが「いや、自分はもっとやって いる」という不満を感じるぐらいが能力評価のちょうど良い姿です、といっていまし た。同じように博物館においても、完全な評価手法・基準はありませんので、ひとつの評価でやると納得しない面があると思います。だから、いくつかの視点を持つこと は非常に良いことではないでしょうか。

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