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 一般にユニバーサル・デザインの方がバリアフリーよりも優れているというイメ ージが強いように見受けられますが、実はそうではありません。対等な立場であり、 逆にバリアフリーで考えなければいけないことの方が多かったりします。もちろん、 ユニバーサル・デザインという理念をこれから積極的に取り入れるべきですし、そ れをひとつの理想としてやっていくべきだとは思いますが、今申し上げた点で私は バリアフリーにこだわっております。要はユニバーサル・デザインとバリアフリーの両方をその場その場できちんと使い分けることが大事でしょう。
 「しょうがい者」を考える時、福祉という観点が強いと思いますが、私は日本人 の「障害者観」がどれだけ熟成されてきたのかと常々考えさせられております。ユ ニバーサル・デザインとか、バリアフリーが盛んに言われるようになり、日本人の 「障害者観」もかなり向上してきているのでしょうが、まだ足りないところがある と思います。1981年の「国際しょうがい者年」をきっかけにして、日本の「障害者観」は非常に向上したわけですが、まだそうではないという事例をここでいくつか あげなければいけません。
 例えば二年前に長野オリンピックが開かれた後、同じ会場でパラリンピックが開 催されました。パラリンピックは「しょうがい者」のスポーツの祭典なわけですが、 実は管轄部署が違っていました。オリンピックは文部省の管轄であり、パラリンピ ックは厚生省の管轄です。要は「しょうがい者」だから厚生省の管轄だ、というこ とですが、果たしてこれで良いのでしょうか。パラリンピックとは元々、脊椎損傷 という意味のパラプレジアとオリンピックを足した造語ですが、今では「もうひと つのオリンピック」という意味に置き換わっております。今度のシドニーオリンピ ックでは同じオリンピック委員会で同じように開催します。まだ遅れておりますが、 同じ部署で開催するという考え方が世界的にも出ているにも関わらず、長野の場合 は残念ながらそういう使い分けがされておりました。
 また、点字図書館というものがあります。これは「身体障害者法」に基づいて、 「視聴覚障害者情報提供施設」に括られております。ある本によると1996年現在、 点字図書館が全国で92館ある中で、74館が厚生省の認可下にあります。図書館です から社会教育施設ととらえるべきだと思いますが、実はかなりの数がそうなってい ないのです。つまり、本を読むという社会教育ではなく、福祉を受けることに組み 込まれているのです。同じ図書館でありながら間違った方策がとられている例では ないかと思います。
 それから点字ブロックにも間違った例が見られます。正式には「視覚障害者誘導 用ブロック」と言いますが、周りと同形同色のブロックを敷いてしまうわけです。 原則としては周囲との区別がしやすいということで、黄色が良いとされていますが、 これはもちろん「しょうがい」の程度によります。白内障で弱視の場合、黄色は逆 に見づらいと言われております。また周囲が黄色のところに黄色を敷いてしまうと 見えなくなってしまいます。したがって黄色が100%良いとは限りませんが、現状 では取りあえず黄色の方が良いと言われております。
 私は千葉市に住んでおりまして、そこでも点字ブロックに関する調査を「しょう がい者」団体がやっております。調査結果によると黄色ではなく、歩道と同じグレ ー色の点字ブロックを敷いておりました。その理由を「周囲の美観を損ねるから」 と役所は説明しております。しかし、それで本当に良いのでしょうか。
 その調査に私も参加しており、商店街に対面調査、アンケートをいたしました。 「視覚しょうがい者」といってもその8割が弱視者と言われており、その人たちに は点字ブロックがはっきりと認識できる黄色が良いわけですが、そのことをきちん と説明すると商店街の人たちも理解していただけるのです。では役所が主張している、「美観を損ねる」という主張は果たして誰が言っているのか。実際にはほんの 一部の人がそう主張しているわけであり、しかも点字ブロックの意義を理解してい ただければ何の問題もないことがわかったわけです。


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