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 したがって法律であげられている数値を鵜呑みにするのではなく、また建築関係 者に任せるのではなく、展示の場面において、本当にこれで良いのかと博物館の人 間自身が考えていかなければいけないと思います。物理的障壁についても、単に建 築関係者に任せるだけではなく、博物館関係者が考えていくことがたくさんあると 思います。
 スロープの話を続けますと、脇にスロープをつけて、中央は階段で上がっていく ものがよくありますが、確かにスロープがあれば車椅子でも上がれるのですけれど も、遠回りさせられているという印象が拭えないわけです。滝川市の美術自然史館 は中央を緩やかなスロープにして、両側に階段をつけておりました。皆が使えるものを中央に持ってきて、場合によっては両側も使えるように設置しております。そ れがあるべき姿ではないでしょうか。
 ユニバーサルの考え方ではスロープではなく、フラットの方が良いわけです。そ うやって完全フラットになった例もあります。淡路島にミュージアムパーク・アル ファビアという美術館があります。ここは段差はもちろん、スロープがまったくな い完全フラットを実現した美術館です。これは見事と言うしかありません。どうし てもスロープや段差を作らなければいけない場合もあると思いますが、頑張って実 現した実例があるわけですから、それを少しでも真似てユニバーサル化するべきで はないかと思います。
 では、どこまでそういう配慮をすれば良いのかといった時、公共的な施設の場合、 どうしても平均的な考え方に陥りがちだと思います。例えば大きな博物館でよくあ りがちなことは、「身しょう者」用のトイレが普通のトイレに全て併設されていな いことです。割合から考えれば、普通のトイレが五カ所あるならば、そのうちの二 つ程度に「身しょう者」用トイレをつければ良いと考えがちでしょうが、それは間 違いです。車椅子は移動に時間がかかりますし、さらに内部機能障害を煩っている 人はトイレをなかなか我慢できません。そういうことも起こりうるわけですから、 普通にトイレが設置されている場所には「身しょう者」用トイレが必ず併設されて いなければいけないと思います。
 また、トイレが男女共用になっているという問題もあります。これもなかなか解 消できない点です。平均的な考え方だと男女共用にならざるを得ないかもしれませ んが、「身しょう者」の方の意見を聞くとやはりきちんと分けて欲しいとの意見も 多いのです。介助を受けなければいけない場合、例えば車椅子に乗っているのが男 性で介助をするのが女性であるような異性が介助をする場合、その異性のトイレに 入ることは時には勇気がいることだと思います。トイレは極めてプライベートな空 間ですから、人間の心理に対する配慮も必要なわけですが、すべての人を納得させ ることはなかなか難しいのが現状です。いずれにしても、平均的なものとは何かを 考えるのもひとつの方策でありますし、いろいろな場面を想定する必要があると思 います。
 次に制度的障壁についてですが、これは時間の関係で省略させていただきます。
 最後に意識上の障壁についてですが、要は心の問題になります。まず、博物館で 触れる展示がある場合、「障害者コーナー」と銘打っているケースがよくあります。 「国際しょうがい者年」に名古屋市博物館と岐阜県博物館がそうしたコーナーを設 けました。名古屋市博物館の場合、「触れてみる学習室」という名前で開設してい ましたが、一般の展示室が二階にあるにも関わらず、その場所は地下にありました。 これはその当時の時代性という限界もあったのかもしれませんが、要は「視覚しょ うがい者」の人が触れる展示は下に行きなさい、と区別しているわけです。
 できるならば、やはり一般動線の中に組み込められないものかと思います。最近 の例では琵琶湖博物館が触れる資料を一般動線の中に配しており、良い状況が作り 出されているのですが、一般的にはどうしても使い分けてしまいます。ある場面で はそれが功を奏する時もあるとは思いますが、できれば皆が同じ状況の中で展示を 楽しめる場面が欲しいと思います。

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