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イギリスの博物館ですべての人が利用しやすい博物館への動きが高まっていることを見てきたが、このような空気の醸成の触媒となったものに、ブレア首相率いるニューレイバー(新労働党)の社会政策が挙げられる。文化・メディア・スポーツ省の施策の一つに「ソーシャル・インクルージョン」というのが掲げられている。
これは「特に居住している地域や障害、貧困、年齢、人種、民族等の理由によって社会的不利な立場に置かれてきた人たちや阻害されてきた人たちに対し、文化やレジャー活動への参加を促す」(GLLAM,2000)ことを目的としており、それによって社会問題への解決や地域社会の振興に役立てるというものである(Department
for Culture, Media and Sport, 1999)。具体的に博物館も対象として挙げられているので、博物館も取り組まざるを得ない状況に置かれている。博物館の公共性という本来の性格から考えると、このような政策も上から押し付けられたものというよりは、博物館が当然やるべきこと、また既にやってきていることとして受け入れられているようである。
文化・メディア・スポーツ省の委嘱を受けて、レスター大学博物館美術館研究センターがイングランドとスコットランドにある22の地方自治体立の博物館を対象に、どのようなソーシャル・インク
ルージョンに対する取り組みを行っているかについて実態調査を行った。調査対象となったすべての博物館で、ソーシャル・インクルージョンのための戦略を持っていることが明らかになった。ソーシャル・インクルージョンに係わる活動が与えた効果を7つのカテゴリーに分類している。
1)個人の成長と発展
2)コミュニティーの活力の向上
3)包含的な(排他的でない)コミュニティーの創出
4)コミュニティーの健全化の促進
5)教育と生涯学習活動の促進
6)失業問題への対処
7)犯罪への対処
これらは、教育、アクセス、機会均等という言葉に代表されるソーシャル・インクルージョンの目的をさらに広げ、博物館が地域社会に対してどのようなインパクトを持ち得るか、どのように人々の生き方を変えることができるか、単に博物館に出かけるという以上にその人の人生にどんなインパクトを与えられるかといったことに対処している(Nightingale,
2000)。
一方、こういった社会問題に博物館が取り組むことに対して、それは博物館がやるべきことではなく社会福祉で扱うことだという批判もある。(Nightingale,
2000)
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