評価と検証をとり入れた展示開発‐自然共生研究センターにおけるケース・スタディー‐
〜『文環研レポート』18号より〜
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■試作品を使った調査の結果 −魚類パネルを例に−

 試作品を使った二回の調査では、被験者数と方法に相違がある。すなわち初回の調査では屋内に魚類の研究解説パネルのみを設置し、それぞれの被験者が見終わった後、調査票に記入してもらう方法をとった。そのため比較的多くのデータを得られたものの、二回目の調査では800mもある実験河川に六枚のパネル全て仮置き、被験者一人と調査員一人がペアになり実験河川を移動しながら実施したため、一回の調査につき長いもので一時間半以上費やすこともあった。また調査期間中の天候や、日没の関係など、物理的な時間が限られていたたことも被験者数の違いを生じさせる原因となった。
 以下、魚類の研究解説パネルを例に「パネルをどこまで読んだか」について、初回の調査結果と照らし合わせながら検証したものであるが、上記の点を考慮してお読みいただければ幸いである。

 二回目の調査で研究解説パネルを「全部読んだ」と回答した人の割合(平均値)は、一回目の調査に比べ、各属性とも高まっていることがわかる【表4】。これは、パネルの読みやすさが改善されていることを示すもので、その大きな理由としては情報量を大幅に減らした点があげられる。
試作品(初回)の文字量と二回目の試作品を比較すると、文章の量が約2分の1に、図表の量が約4分の1に削減されている。このことが見やすさとわかりやすさを向上させたと考えられる。
 五段階の質問項目では文字のわかりやすさや、絵や写真の見やすさなど評価が高まっていることが示された(次ページ参照)。河川業務関係者と小学生で、その傾向が著しかった。
その他自由に記述された意見の中からも改善のヒントは多い。これらの意見は研究担当者、デザイナー、調査と評価担当者の検討材料として活用された。
 魚類のパネルについて抽出された代表的な問題点と改善した点は【図3】の通りである。他にも得られた多くの意見を検討項目に加え、パネルの改善について議論したが、ここで扱うべき範疇を超えていると思われる専門的な情報のニーズや、物理的に実現が難しい要望については、改善すべき点としてとりあげなかった 。

【表4】試作品を用いた調査において利用者がパネルをどこまで読んだか初回と改良版の比較
  パネル左側 パネル右側
初回 改良版 初回 改良版
河川業務関係者 33% 100% 33% 90%
小学生 44% 100% 16% 100%
研究者 88% 100% 88% 90%

図3
【図3】抽出された問題点と改良された点

 このような様々な改善点を反映して決定した最終的なレイアウトのポイントは、1.伝えたい内容の絞り込みにより、文字数を始めとする情報量を削り、2.専門的でわかりにくいと指摘のあった事柄については写真を活用し、3.水の流れの変化や川の中の形状など河川のわかりにくい現象や仕組みについては、図解してわかりやすくしたことがあげられる。


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