評価と検証をとり入れた展示開発‐自然共生研究センターにおけるケース・スタディー‐
〜『文環研レポート』18号より〜
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■完成した研究解説パネル

 完成した研究解説パネル(次ページ参照)の改善ポイントを記すと、まずパネルの左側では、問いかけによる問題の提起とそれを受ける結論をより一層簡潔に表記した。同時に文章中のポイントとなる言葉については、文字のサイズを大きく、色を濃くするなどの方法で強調した。文章の中で解説されている事象等、専門的でわかりにくいと判断したものについては、イメージを促せるような図解を差し入れた。
 完成した魚類の研究解説パネルでは、川の瀬や淵など現場にある「空間的な情報」と研究解説パネルがリンクできるよう、実際目の前にある瀬や淵に目を移すことを促す文章を記載した。

 パネルの右側は、なぜこの研究が行われているのか、その理由や意義について説明する「研究のポイント」、具体的な調査や実験方法について説明する「研究方法」、得られた結果について説明する「研究結果」の三つの項目で構成した。
「研究方法」では、調査や実験風景がイメージできるような写真を用い、文章による説明を極力減らす努力をした。「研究結果」では、得られた結果全て触れるのではなく、研究解説パネルの中で最も伝えたいポイントを絞ってとりあげた。また一枚のパネルで説明に使うグラフは一つに限定し、結果を明確に表現するために必要最小限のデータを用いて、可能な限りグラフを簡略化した。
各項目の文章は箇条書きでまとめ、専門的な用語を使う場合には別枠を設け簡潔に用語の説明を行うこと、今後の課題について末尾に記載したことが、各パネルで共通している体裁である。

現場を見ただけでは読みとりにくい、河川の捉えにくい事象を理解してもらうため、研究解説パネルでは、グラフィックを開いたり、動かしたりする行為を通じて実感できるような工夫を施した。
明確な教育目標を定め、多くの感覚に訴え、事象の本質の理解へと導く展示手法はハンズ・オンと呼ばれ、欧米の科学館に始まり、わが国でも導入されつつある(7)。今回、河川に関する研究をわかりやすく表現するため、この種の手法を導入した。
完成した魚類のパネルでは、開くことのできるグラフィックをめくると、目の前に流れる川の断面が図版で示されている。実際の川と見比べ、川のどの部分に魚が多く棲むのか、ちょっとしたパネルの動きを通しながら理解を促そうという設えである。
他にも、把手をスライドさせると水面下の石や藻類の写真が、そこに棲む水生昆虫など底生動物の生息状況を示した円グラフに変わり、その場所にどのような動物が暮らしているか理解できるものや、パネルを回転させて出水前後の川の変化を辿り、自浄作用の時間的変化をグラフィックの動きを通して伝えようとするものなどがあわせて完成した【写真3】。


【写真3】グラフィックを動かすことで河川の事象を表現
▼底生動物の生息状況(底生動物)
写真
スライド させる
写真
川底のミクロな空間ごとの
底生動物の生息の割合が理解できる。
▼増水時の河道内における貯留(流下能力)
写真
回転させる
写真
増水した水が貯められる場所と
その割合がわかる
▼出水と川の自浄作用の変化(水質)
写真
まわす
写真
出水前後の自浄作用の
経時変化を辿ることができる
▼出水と付着藻類の剥離(付着藻類)
写真
ひく
写真
出水前後の川底の藻類の
付着状況が比較できる
▼外来植物の除去と河原植物の生育状況(河原植物)
写真
ひらく
写真
外来植物を抜く処理をした後の
河原植物の生育状況がわかる。

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