動物園における人と生きもののかかわりを伝える教育プログラム
文化環境研究所 主任研究員 吉岡伸
〜『文環研レポート』20号より〜
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■はじめに

 教師:『皆さんの中で、爬虫類について何か知っている人はいますか?カメ?そうですね、カメは爬虫類です。ヘビもそうです。世の中にはたくさんの爬虫類がいます。(教師が手にトカゲを持ち)これは何だかわかりますか?最近ではヘビやトカゲをペットにするのが人気のようですが、誰かこの種類のペットを飼っている人はいますか?』
生徒:『気持ちが悪い。』
教師:『今日ここで爬虫類を取り上げたのは、ヘビやトカゲを見て怖がる人に対して、爬虫類が非常に良い性格を持っている動物であることを紹介したいからです。頭から尻尾に向かって撫でてみましょう。それ以外の方向ではいけません。』
生徒:『触らなきゃだめですか?』
教師:『人間は0歳から2歳くらいまで母親と一緒に暮らし、そのあと徐々に母親から離れて生活します。しかし爬虫類は生まれた瞬間から自分の身を守り、餌をとっていかなければなりません。非常に厳しい環境ですよね。グループで生活している動物は、グループのメンバーが餌のとり方や身の守り方について教えてくれます。これは大きな違いです。』
生徒:『どのくらいので、卵は孵るのでしょうか?』
教師:『いい質問ですね。卵は数週間で孵化します。ところでトカゲは何を食べると思いますか?』
生徒:『昆虫、ネズミ....』
教師:『他にわかる人はいますか?』
教師:『ここにいるヘビやトカゲは、スーツケースに入れられてオーストラリアに密輸されたものです。空港で係の人がスーツケースを空けたところ、これらを見つけました。爬虫類は没収され、保護するための動物園が探され、ここに連れられてきました。』

写真1
▲学校向け教育プログラムの様子(Werribee Zoo)

 上記はオーストラリアのメルボルンにある動物園、Werribee ZOOで行われている学校向け教育プラグラムの様子である。市内には、このWerribee ZOOの他にMelbourne ZOO、Healesville Sanctuaryといったタイプの異なる動物園が存在している。
 開園当初はエンターテイメントとして、動物を檻の中に入れ、見せることを目的とした動物園も、現在では来園時の体験を通し、動物の保護や環境の保全の普及啓発に目的が変化している。そのため各園では来園者に対し、解説サインやハンズオンの要素を取り入れた展示、人を介した解説など、実に様々な教育的情報を提供している。
 中でも学校に対しては、動物園にある資源を最大限活用した教育プログラム「Wild Education」が提供される。就学前の幼児から中等教育後半の学生まで幅広く対応するWild Educationは、オーストラリアにおける学校教育カリキュラムに沿ってデザインされており、多数のプログラムが用意されている。
 本稿ではこのWild Educationのうち、Healesville Sanctuaryで実施しているプログラムについて紹介する。


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