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| ■運営段階 |
| 11. | 博物館に勤める職員(館長から正職員、非常勤職員、ボランティア、レストラン・ミュージアムショップの職員、警備員等まで)の間で、自己の所属する博物館の存在意義や社会的使命、経営姿勢等に対する認識が、合意された形で共有化されておらず、そのことが博物館全体にサービスパフォーマンスの欠如をもたらしている。 |
| 機関としての存在自体が公共性をもち、その機関の活動や事業等が一般 社会に広く、深く根づくことを目的の一つとする博物館にあっては、トップマネジメントの在り方が何よりも重要視されるべきである。そこにはトップの思い入れ、つまり経営理念、運営姿勢の確立が必須条件とされるが、我が国の博物館では、計画段階で「設置目的」や「設立の意義」、「事業活動」等が、専門委員会や事務部局、準備室等で検討され策定されるものの、経営姿勢についての理念が打ち出されることは、まずない。この経営姿勢や経営理念は、その館の設置目的や事業活動を有効かつ円滑に達成するための指針となるべきものである。この指針となるべき「経営姿勢に対する認識と理解」が博物館に不足している。この種の認識・理解は、現場の実情が理解でき、課題の改革が可能なトップの主導によって形成されることがベストであるが、当然のことながら、これらの認識・理解は、トップにのみ必要とされるものではなく、博物館全職員の間で共有されていて、初めて意味をもち、成果 も期待できるものである。そして、大事なことはその認識が職員同士の真の信頼関係の構築に寄与するレベルのものでなければ、トップからの一方的な掛け声、陳腐なお題目で終わってしまうということである。組織全体で合意形成され得る高水準のレベル設定と利用者のニーズを的確に把握し対応出来得るモニタリングシステムの整備が、そこには求められるということを忘れてはならない。 |
| 12. | 博物館経営の実態が市民に広く情報公開されていない。 |
| 博物館の存在そのものが一般社会に浸透しない理由の一つに、博物館に関する経営情報が市民に届いていないことが挙げられよう。特別 展や巡回展、セミナーや各種講座等、博物館活動そのものを市民や社会に理解されるように努めることは、無論大切なことではあるが、その一方で経営面 での情報を広く公開することが、社会や市民の支援を得る契機につながる。 博物館が地域や市民に何ができるのか、といった視点も大切ではあるが、地域や市民が、博物館に何ができるのか、といった逆の視点で博物館活性化に取り組むことが、より今日的課題(「開かれた博物館」の在り方等)に近づくことができるのではないだろうか。 博物館業務の多様さ、それらに対して十分な活動のできかねる人員不足、限られた予算、しかし、面 白く、興味の尽きない世界─。それも全て社会や市民のために用意されているものなのである。市民や地域社会が、博物館が当面 している経営実態に関心を寄せ、必ずしも万全ではない状況を知ることで、市民が自主的、自発的に運営に参画し、地域全体として博物館を支えていく。こうした支援と連携によって現在、博物館が抱えている課題の大半は解決できるのではないだろうか。博物館への市民参加は、経営の実態を公開し、 その課題や可能性を共有することで、博物館と市民との信頼関係がより強固になり、博物館は市民社会の中で成熟の方向へと進展し、真の意味で定着していくものと思われる。 成熟した市民社会においては、博物館の受益者は市民や地域よりもむしろ博物館側であるべきではなかろうか。 |
| 13. | 市民活動、民間団体、企業、地域社会との経常的な連携関係が構築されていない。 |
| 博物館が社会や市民の支持、支援を得るためには、その前提として博物館自体が独自に意思決定が出来、そこから策定された事業活動の遂行に関して、予算の編成や執行等を自主的にオペレート出来る全人格的な組織・体制となっていることが必要である。都道府県レベルの博物館は、概ねこうした体制に向かっているものの、市町村レベルでは、博物館が、行政の一委員会(教育委員会の場合が多い)の下に置かれていたり、首長部局の場合は商工観光課等の出先機関として位 置づけられていることが多く、そこから生じる業務の非効率、サービスの低下に対応する手法として所管部署の役職と館職員の役職とを兼任する体制が一般 化している。(例えば、教育委員会の文化課課長が館長に、また商工観光課課長が館長を兼ねるといった例) 問題は、この出先機関としての位置づけが、博物館が本来目指そうする方向に必ずしも良く機能しないということにある。市民活動、民間団体、企業、地域社会等との連携や交流等が、これからの博物館活動にますます必要とされるならば、建前が優先され、煩瑣な手続き等に縛られがちな一般 の行政機関、しかもそうした行政の末端に位置づけられる機関とは異なる、体制やシステムが望ましいのは当然のことである。近年、財団や3セク等が設立され、博物館運営のアウトソーシング(外部委託)が行われるようになてきている背景にはこうした事情が強く作用している。(公務員の定数隠しという穿った見方があるなど、経営としては必ずしも成功しているとは言いがたいが)。 一方、博物館を行政が直接運営するとすれば、博物館の運営を司る長は、少なくとも市町村レベルにあっては行政のトップすなわち市長・町長・村長が当たるべきであろう。市民に自己実現の機会と場を提供し、地域経済にも刺激をもたらし、地域社会の発展に貢献し得る博物館は、地域経営の基盤である経済効果 や市場性に深く関与する性格のものと言えよう。だからこそ、博物館の建設過程での首長の関心は、所管部署の長(教育長等)をはるかに凌ぐものがある。だが開館後、関心は急に低下し、すっかり人任せである。人任せ以上に問題なのは、行政組織の中にあって博物館の独自性、特異性が理解されないままに放置され、事業活動にともなう予算執行も本庁の関連部課長等に決裁を仰がなければならない等の体制になっていることである。これが、館長が首長であるならば、多くの事柄がスムーズに運ぶ。教育委員会が首長行政から独立、中立した機関としてあるべきだとの位 置づけが揺らぎ、首長部局に従属する体制にある今日では、人事面や財政面でもこの方向が有効な手立ての実現に寄与出来るのではなかろうか。(実例としては、岡崎市美術博物館がある) こうして、運営主体が役所的かつ官僚的隘路から開放され、決断実行が素早く、効率よく行い得る機関となることで、市民活動、民間団体、企業、地域社会との密接かつ経常的な連携関係が、より現実に則した形で構築され、継続される。また、こうした体制が民主的な運営と密接・不可分であるべきことは、市民から専任された首長の自覚をまつまでもないことであり、博物館をステージとした今日的課題への積極的関与─例えば、NPOの自立への支援、市民の支持基盤となるボランティア団体、人的資源としての協力パートナー、サポーター等の育成・活用方策、個人や法人を含む経済的、財政的支援の制度的確立、企業メセナ活動との連携等─が今後の博物館の重要な課題として取り組まれるべきであろう。 |
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