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| 今日の話題は水環境の展示についてです。まずアメリカの水族館展示手法からみた 水域環境教育についてご説明します。去年、土木学会の環境システム研究会の論文集
に、『米国の水族館展示手法からみた水域環境教育』という論文を発表しました。これはアメリカの水族館の展示手法を時系列的に分析して動向を捉らえ、環境教育の観
点からまとめたものです。アメリカの水族館展示では、今まで魚を種類ごとに水槽を分けて展示するという、生物の系統分類学的な視点による展示が中心でした。それが
今日では生物と環境との関係性に視点を置いた展示が主流になりつつあります。アメリカでこのような先進的な取り組みが行われている背景には、1980年国際自然保護連
合(IUCN)が世界自然保護基金(WWF)や国連環境計画(UNEP)とともに「世界環境保全戦略」を発表したことがあげられます。この中で「動物園や水族館は、種の保存、
遺伝子の多様性の保存、また環境教育の面で貢献できる」という原則が示されました。 またその後に「野生動物を飼育、展示するための原則の勧告」が発表され、「野生動
物の展示は、丹念に用意された教育計画に基づき、その展示種が生態系の中で果たすべき役割を理解させるものでなければならない」という原則があげられました。水族
館については、世界水族館会議がこれまで4回行われています。今年はモナコで行われるようですが、その中でも回を重ねるごとに各国の水族館における環境教育に関す
る議論が活発化し、その取り組みが重要視されるようになってきています。またアメリカでは1970年に連邦政府による全米環境教育法、またその後多くの州による州環境
教育法や指針等が整備されており、水族館を含む社会教育施設の環境教育施設として の機能が早くから期待されてきました。 アメリカの水族館は19世紀にヨーロッパから伝来し、1888年にワシントンに淡水水族館、1890年にニューヨークに海水水族館ができました。それ以降たくさんの水族館ができましたが、今日取り上げる事例は米国動物園水族館協会(AZA)加盟の5つの水 族館です。 |
| ◆スタインハート水族館・シアトル水族館 |
| まず、サンフランシスコにあるスタインハート水族館です。現在は改築中と聞いておりますが、ここの数年前の展示を従来型の例として示します。魚種ごとに分けて展示するという手法の一例です。展示の工夫は様々ですが、種の特徴を解説するような
視点のものが中心です。このような展示形式がこれまで多く見られました。[写真1] それに対して新しい動向として、まずはシアトル水族館を見てみたいと思います。 ここではピュージェット湾の生物の生態を中心に展示が構成されています。ここも現 在再生計画中であり、これから展示の様子も変わっていくと思います。ここの特徴と しては館内にコンクリート製の魚道が造成されていることがあげられます。水族館で 孵化放流したサケが海へ下り、産卵のために遡上し再び水族館に戻ってくる様子を見 学できるようになっており、そのような手法を初めて実現した水族館です。もうひとつの特徴として、人の生活と水環境との関わりに注目した展示が多く、例えば生活排 水による水質汚濁の現状などがわかりやすく展示にとりあげられています[写真2]。 シアトルで使われている実物大の配水管を展示して、人が生活によっていかに環境を汚しているのかを体感するものや、魚の模型の腹部に取り付けられた扉を開くと、魚 の内臓に蓄積された化学物質の情報がわかるような展示もあります。[写真3] 【スタインハート水族館URL】 http://www.calacademy.org/aquarium/ 【シアトル水族館URL】 http://www.seattleaquarium.org/ |
![]() [写真1]汽車窓式と呼ばれる魚類の系統分類学的な展示例 (スタインハート水族館) ![]() [写真2]身の回りの雑排水がどのように 環境に影響を与えているか理解できる (シアトル水族館) ![]() [写真3]魚の体内変化から現在どれくらい 水質汚染が進行しているかわかる (シアトル水族館) |
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