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■120万人も集まると考えるのか、120万人しか集まらないと考えるのか?
 ここシドニー水族館では、特定の来場者を想定せず、あらゆる層から支持される施設を目指している。そのため「好きな展示」や「どんな内容が面白い」と言った、利用者調査に近いサーベイを頻繁に行っている。このように書くと「やはり単なる娯楽施設ではないか」と聞こえそうだが、水族館・動物園で国際的に共通する使命は出来得る限り果している。
 NSW州近海に生息する絶滅危惧種の鮫を例にあげると、本来NSW州の水産庁がビジターセンターやパンフレットなどを作成し、鮫に関する保護や生息環境の保全について啓発活動を行うべきであるが、人と予算が少ないため実施できないでいる。そこで行政に代わり水族館が環境保全や環境教育のメッセージを発信する役割を担っている。[写真18]
 現在、水族館や動物園の使命としては、「レクリエーション」「教育・環境教育」「種の保存」「調査・研究」の4つがあげられている。(註7)しかし運営する主体や抱えている背景によって、この使命の力点が異なるのは当然である。民間であれば運営に関わる資金を自前で調達しなければならなず、そのためには「レクリエーション」の要素を前面に出しながら集客をはかり、「教育・環境教育」「種の保存」「調査・研究」を可能な範囲行っていく。逆に行政であれば民間がなかなか専念できない「教育・環境教育」「種の保存」「調査・研究」に重心を置きつつ、集客や収益事業にも自助努力する。
 今までもそうであったが、「集客」と「社会的な役割の実行」は、博物館にとって切っても切れない関係にあり、両者に対しいつも頭を悩まさなければならない問題として再認識しなければならない。
 シドニー水族館における入場者数「120万人」は、これだけの集客要因があり、日々努力をしているからこそ「120万人」集まると考えるのか、それともこんなに一生懸命やっても「120万」人しか集まらないと考えるのか、取材を通して「娯楽」と「教育」、「観光」と「保護」の接点から「博物館がどのように貢献できるか」改めて考え直す必要性を感じた。

本稿作成にあたっては、平成13年5月17日に実施したChris McDonald氏、Christine Humphries氏へのインタビューをベースにしている。この場を借りて両氏に御礼申し上げる。
またシドニー水族館で公式に運営されているホームページ
http://www.sydneyaquarium.com.au/
や『シドニー水族館ガイドブック(日本語版)』,1998と『Sydney Aquarium 2000 Annual Report』,2000を参考にしたことを最後に付記しておく。なお『Sydney Aquarium 2000 Annual Report』は、日本で例えれば「有価証券報告書総覧」に近い発行物で、運営に関わる財務的なデータが全て公開されている。下記のアドレスでダウンロードが可能である。
http://www.sydneyaquarium.com.au/html/annual.htm

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