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非接触ICチップを使った、タグやICカードの話題が毎日の新聞を賑わせています。
かざすか、タッチするだけで情報をやりとりできる仕組みは、展示などにも向いており、私は3年以上前から実験的に展示に応用してきました。
しかし、当時は非接触ICを読み取る機器が大きく高価だったため、固定した数台の使用に止めざるをえず、実験的な利用にとどまっていました。
しかし、コストダウンと小型化が急速に進み、ようやく、一般的な展示のツールとして、非接触ICを使ったシステムを利用できるようになりました。
実用段階に入った、非接触ICチップを使った展示についてご紹介しましょう。
非接触ICとは、外部から電波の形で電源供給されて動作するICチップを使ったディバイスのことで、ICチップと電波を受けるアンテナとで構成されています。
非接触ICと言っても様々な種類があります。
まず、読むだけか、書き込むことも出来るか?で大きく使い方が分かれます。
読み書きできる非接触ICチップを使った代表は、定期や社員証などに使われているICカードとしての使い方です。
こうしたカードは、読み書きに高度なセキュリティ機能があるのが通常です。
一方、読み出すだけの非接触ICチップものは、最近話題のタグ(RFID)としての使い方が注目されています。
商品などにつけて、在庫管理から流通管理までを、非接触でトレースするタグとしての利用です。
読み出すだけの非接触ICチップは、読み書きできるものに比べて、安価で小さく作ることができることも使い捨てのタグとしての利用に向いています。
読み書きに使う電波の周波数も様々で、一般に周波数が高いほど狭い範囲(距離)からしか読めません。
この情報を読み出せる範囲(距離)は使い方に大きく影響します。
定期など、あまり遠くから読めると複数の非接触ICチップを読んでしまい誤動作の元になります。
一方、商品の棚卸しに使うなら、ある程度離れた距離からまとめて読めなければ作業効率が上がりません。
また使う周波数で、アンテナの大きさも変わります。ICチップは小さいものなので、最終的にアンテナの大きさがタグやカードの大きさを決めることになるのです。
こうした特長を生かして、必要に合わせた様々な非接触ICチップが生まれ、利用のフィールドが広がりつつあります。
電波を受けて動作し、情報を読み出す、書き込むその仕組みを安定して行うには、様々なチャレンジがありました。
実用化前の時代、強い電波でないと動作させることが出来ず結果、リーダーは大きく、電池などでは動作しないため固定する必要がありました。
非接触ICチップも当初は、不良品率が高いため1つあたりのコストが高く、使い捨てにするのは困難でした。
動作のためにアンテナも大きかったため、クレジットカードの4倍ほどの大きさの時代もありました。
さらに、最大のポイントは、間違いなく読めること(書けること)、その信頼性が高くなければ、在庫管理にも使えず商品の流通に使うなど考えられませんでした。
こうした問題をクリアして、リーダーもメモリーカードほどの大きさになり、非接触ICチップはタグ用には1ミリより小さいものが登場、コストも劇的に下がりつつあります。
コンピュータシステムの高度化も合わせて、非接触ICチップの利用が爆発的に広がるタイミングに来ているのです。
2004年4月29日、ゴールデンウイークに茨城県日立市にオープンした「吉田正音楽記念館」。
昭和の歌謡史に輝く大ヒットメーカー、吉田正の記念館です。
吉永小百合などの門下生の語る思い出のコーナー、だれでもできる作曲教室など、コンピュータを使ったメディア展示が用意されています。
こうした中で音楽を聴くのに活躍するヘッドホンのついたグレイの小さな箱が、非接触ICチップを使った音楽再生情報システム「ミュージック・プレイヤー」です。
昭和歌謡史の年表ケースに置かれた、ヒット曲の刻まれたトロフィー。
実は、これがヒット曲を再生するキーなのです。
トロフィーの前に置かれた曲目プレートに、非接触ICチップを使ったタグが埋め込まれています。
来館者は、このプレートに「ミュージック・プレイヤー」をかざすだけで、聴きたい音楽が再生されます。
画面には、曲の解説・ジャケット・歌詞が表示されます。
好きな曲をBGMに館内を自由に見学できるのです。
難しい操作は一切なし、装置をトロフィー(プレート)にかざすだけ。
最新の技術を上手に使うと、こんな簡単に使える道具を作ることができる見本のような装置です。
そのキーディバイスが、非接触ICチップなのです。
3月に開館した、「静岡科学館る・く・る」では、子供たちのクラブ「る・く・るクラブ」のメンバーカードとして、非接触ICチップを使ったICカードが活躍しています。
館内では、参加体験型の展示物一つ一つにメディア装置が用意され、カードをタッチすると、名前が表示されてウェルカムしてくれるほか、ポイントがたまります。
幾つかの展示では、カードをタッチすると自分の体験の様子が自動的に写真や動画で記録されるようになっていて、後でインターネットのHPで、体験の様子を見ることができます。
展示物の実体験に、非接触ICチップを使ったICカードを用意することでオリエンテーリング的な要素が加わります。さらに、メディア装置や科学館のHPでは、体験に即した好奇心に応える科学解説なども提供しています。
館としては、人気のある展示物やそうでない展示物の利用統計情報を得ることや、子供達の利用状況を捕捉することで運営に役立てることが出来ます。
本来、このカードは来館者全員に提供できればより効果的なのですが、残念ながら書き込みが出来、セキュリティのしっかりしたICカードの値段はまだ高価で、子供たちに無料で配ることは出来ません。
しかし、様々なICカードの規格統合が進んでいる現在、学校に"児童ICカード"のような物が登場すれば、科学館でもそうしたカードが利用できるようになるかもしれません。
商品の効率的な管理と流通課程のトレースなどに、非接触ICチップを使ったタグが様々な業種で注目されています。
上記の展示などへの応用は、開発しているメーカから言えば元々おまけ的な使い方でしょう。
しかし、現状非接触ICチップを使ったタグには、完全な実用化には乗り越えなければならい大きな問題があるように思います。
それは、100%確実にタグを読めないと言うこと。
おいてある商品1つずつをチェックせず、まとめて情報が読めるのが特徴なのですが、残念ながら読み抜けが出るのです。
これでは、例えば商品の数のチェックにも使えません。
ある先進的な図書館では、非接触ICチップを使ったタグを蔵書管理に使っています。本を棚に置いたまま簡単に蔵書のチェックが出来るはずが、やはりこの読み抜けの問題から、読めなかった本を探すことになり結構手間がかかってしまいます。
こうした問題は、処理するパソコンや管理するデータベースの工夫である程度まで解決できますが、100%の信頼性が得られないと実社会での利用は難しい面があるように思います
また、多くの非接触ICチップを使ったタグは、情報が書き込めないので、例えば物の流通を捕捉する場合でも、必ずネットワークを経由してデータベースとのリンケージが必要になります。
これでは、例えばスーパーマーッケトで商品の流通情報を流すなどのサービスをするには、システムが大規模すぎるかもしれません。
とはいって情報が書き込めると、情報の書き換えが自由に行われないように、ICカードのようにセキュリティをかける必要が出てきます。
本当に便利に使えるようになるには、越えなければならない様々な課題があるようです。
携帯電話に非接触ICチップを組み込んだ、"IC電話?"がもうすぐ登場します。
残念ながら、リーダーの機能はないので、携帯電話をかざすと画面に情報が表示される仕組みを作るには、
1−携帯電話を該当の装置にかざす
2−装置が非接触ICチップのIDを認識し、ネットワークを通じてIDに対応した登録されたメールアドレスに情報を送る
3−画面に情報が表示される
といった仕組みが必要です。
コンサートの入場券代わりに使うなら、もう少しシンプルで、
1−携帯で予約するとIDが登録される
2−入場時携帯をかざす、携帯電話にダウンロードされた購入情報を入場管理装置が認識して入場できる
この場合、入場管理装置はネットワークに接続しなくても利用できそうです。
これに近い形は、QRコードと呼ばれるコードを携帯のカメラで認識することで既に実現されています。
しかし、カメラで撮るより"かざす"だけで読める非接触ICの方が確実で信頼性があるのは言うまでもありません。
リーダーが携帯電話につくと、飛躍的に便利になります。
例えば、スーパーの店頭を考えると
1−携帯をかざして、大根の非接触ICチップのIDを認識
2−IDに対応した情報を携帯本体やネットワークから探してきて、大根の流通情報や生産者情報を表示、又は音声が流れる
というわけで、上記のスーパーでの情報提供が現実的なものになります。
この仕組みなら、街を歩きながら、街角のサインに携帯をかざして情報入手したりなど様々な使い方が広がりそうです。
こうした技術は、NFC (Near Field Communication) と呼ばれ、この機能のついた携帯は、来年あたり登場する予定です。
無線情報装置である携帯電話、物理的な物とのリンケージをリアルにとる非接触ICチップ。
この組み合わせは、日常生活はもとより、展示の世界でも解説の仕組みもドラスチックに変える可能性があります。
ただ、携帯をにらみながら歩く人の数が今以上に増えるのは、願い下げにしたいものですが、、、
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