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2006年、LOHASはいよいよ広がり、一過性のブームで終わることはない。
なぜならば、LOHASは私たちの価値観であり、ライフスタイルであり、社会を変えるプラットフォームだからだ。
顧客に愛され、事業規模を着実に拡大し、売上が毎年着実に伸びている。これはLOHAS的な企業にすでに近年起きている共通の事象だ。
いつの間にか潮の流れが変わりはじめていた。パラダイムシフトが起こり、新たな潮流が生まれている。
顕在化した最大の生活者層LOHASの日本での現状、誕生したアメリカでのその源流、そしてこれからの動向について報告する。
ニューヨークの最高級インテリアショップ「ABCクラフト&ホーム」で、今最も人気のタオルは日本の今治にある中堅タオルメーカーのもの。
「あー、なんてキレイな色、そして素敵なデザインかしら。それにこのソフトな風合い。“風で織った”タオルですって!?ワンダフル」NYで小児病院の院長をしている女医さんは自分の病院のタオルを全てこのタオルに変えたという。
なぜ、このタオルが欧米の最高級タオルより高く売られているか、セレブに人気なのか・・・?
このタオルを生産しているメーカーは「池内タオル」という。池内社長によれば、同社の顧客は、インターネットを通じて、その企業姿勢をくまなく調べ、そしてメールで様々な問い合わせをしてくるという。池内社長自らクイックレスポンスで顧客の心をつかみ、同社は業績を順調に伸ばしている。タオルメーカーなのに顧客は30代男性が多いそうだ。
日本人の約3割が、自分の健康と地球の持続可能性を志向する新しい価値観・ライフスタイル「LOHAS」層であると、昨年6月に発表された調査報告(イースクエア調べ)と、日経流通新聞のヒット商品番付(上期)で西の大関に番付され、LOHASは時代の新しいキーワードとして躍り出た。その後、下半期には百貨店各社でのLOHASフェアやマスコミでの特集などが相次ぎ、11月の調査(電通)によればLOHASの認知は45%まで上がっている。
LOHASは健康と環境に配慮したライフスタイルのことだが、LはライフスタイルのL、HはヘルスのH、そしてSはサステナビリティのSだ。サステナビリティというのは、持続可能性と訳すが、今生きている私たち世代のニーズを満たしながら、将来世代のニーズを損なうことのないよう可能性を残すということだ。将来世代というのは、自分の子供や孫の世代。50年後、100年後の人たちに、私たちと同じように美しい自然、文化、おいしい空気、水を受け渡し、生物の多様性を残していくということだ。
このような価値観を持った生活者LOHAS層がアメリカで命名されたのは1998年のこと。LOHASはどのようにして生まれてきたのだろうか。その源流をたどってみよう。
LOHASの源流をたどってみると、そこには二つの流れがあった。一つめが、ヒッピーやニューエイジの人たちが起こした自然食品店などナチュラルビジネスだ。彼らは、エコロジー、平和、社会正義、自然食品といった、社会のメインストリームで行われている環境破壊、差別、人工的な農業・食品、画一的な価値観といったものへの代替案を考え、社会を変えていくこと、自分を変えていくことに関心を持ち行動を起した人たちだ。
二つめが「カルチュアル・クリエイティブ」だ。これは社会学者ポール・レイが15年にわたる研究の結果、1998年にアメリカ人には三つのタイプがあることを明らかにしたもの。信心深く保守的な伝統派、科学技術を信奉し、お金が全てという近代派、そして「カルチュアル・クリエイティブ」文化を創る人たちだ。カルチュアル・クリエイティブはヒッピーやニューエイジ自身であり、影響を受けた人たちである。そして、「GAIAM」という企業の登場。1988年に、イルカ・リサビィによって創業された同社は、インターネット等を通じて環境や健康に配慮した商品、ヨガのDVDやウエアとか、自己啓発グッズなどを販売している100億円超の会社だ。ポール・レイとの出会いがあり、このカルチュアル・クリエイティブを消費者として見たときに、どんなマーケティングアプローチができるか、ディスカッションの末「LOHAS」という言葉が誕生したという。
2002年の6月にアメリカ、コロラド州のブルームフィールドというところで開かれた「LOHAS会議」に、私は日本人として初めて参加した。その会議はもともとは「ナチュラルビジネス市場トレンド会議」という名称だった。LOHAS会議自体、そうしたナチュラルビジネスに投資を呼び込もうという趣旨で始められたもので、回を重ねるごとに、全米からそうした価値観でビジネスを立ち上げたいと思う社会起業家たちが集まっていった。彼らも皆いわばカルチュアル・クリエイティブ層だ。
この会議で初めてLOHASマーケットの市場規模が約30兆円であることと、アメリカのLOHAS層が30%存在することが発表された。彼らは環境に配慮し、家族や地球の健康、さらには社会の将来にまで関心をもっている。社会正義、自己啓発など、身体・精神・地球のウエルネスを求め、こうした価値観に基づいて行動する人たちだということも報告された。
雑誌「ソトコト」をはじめ、様々なメディアでの継続的な情報発信により、LOHASというコンセプトへの共感が広がり、都市部を中心にLOHASは日本で広がっていった。GAIAMがLOHASという商標を持ち、一般への認知が広がらないアメリカとは対照的に、日本では今やLOHASが一般名詞化しつつある。
そんな中、LOHASをブームで終わらせることなく、日本に定着させたいという志のもと、国内を中心にLOHAS志向の企業の取材を通じ、そのLOHAS的ポイントを抽出し、明日からLOHASな事業を始めたい、既存の事業をLOHAS化したいと考える企業や自治体の指針になるような書籍を作ろうと、『日本をロハスに変える30の方法』(講談社から1/19発売)が誕生した。
日本には沢山のLOHAS志向の企業や団体がある。本書には、これまでに縁のあった企業・団体を中心に、衣食住遊学からエネルギーやまちづくりまで多彩な事例が集まった。これらの団体に共通しているのは、いずれも創業者をはじめスタッフ自らがLOHASな人々だということだ。健康や環境への配慮はもとより、こだわりのあるデザイン性に優れた商品・サービスを提供している。そして、取引先や顧客と深い信頼関係でむすばれている。少しづつの成長、“豊かな成長”をし、持続可能な社会の実現をめざす。そんな共通項を“30の方法”としてまとめてみた。
すでにLOHASビジネスで人気を呼んでいる商品やサービスの代表的なものに、ヨガやマクロビオティックがある。いずれも東洋生まれのものだ。特にマクロビオティックは、久司道夫さんが1949年に渡米して以来アメリカで普及させてきた食養療法で、今日では一流ホテルや政府機関からハリウッドのセレブまでが取り入れているという。久司さんは、著作の中で「健康と環境を回復するカギは、自然な食事法を中心とする、より自然な生活法に回帰することにある」と言っている。
日本古来の季節を大切にする暮らし、農業とともにある一年、生活の知恵から再び学び、地域の特色を活かした商品・サービス、まちづくりなど、“地域ブランド”育成の可能性、日本型LOHASの可能性が大きく広がっている。
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