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| 1階/遊びのステージ平面図(拡大図を見る) |
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| 3階/学びのステージ平面図(拡大図を見る) |
津田―(仮称)釧路市こども遊学館は、市民の方々と協働で活動を進めていこうとなさっています。まず、この施設の現代におけるねらいや目的を伺いたいと思います。
山田―釧路には青少年科学館という施設があり、改築の時期を迎えていました。この科学館は郊外にありましたが、改築を機会に今度は都心に立地させることになり、アクセスの仕方を含め、都心の施設としての感覚を加える必要がありました。
また、せっかく新しくするからには、今までの科学館の施設機能にとどまらず、幼児、小中学生に加えて親子での来館者など、いかに多様なニーズに対応できるものにするかというのが、もうひとつのねらいです。そこで、科学館は科学の知識を勉強する場という性格が強かったのですが、遊学館は文字通り遊び心も取り込んで、楽しく遊びながら学んでいく場にしたいと考えました。
津田―遊びと学びが融合して一体化する場ということですね。学校の公教育とこの施設とはどういう関係になるのでしょうか。
山田―私のすすめている釧路の教育行政の基本は、知識だけではなく体験を通じての智恵の教育です。加えて、地域、市民がみんなで教育に関わっていこうということもあります。遊学館は、子どもたちが学校で勉強したことを、地域社会の中で体験していく場であり、そこから自ら考える力を養って欲しいと考えました。地域全体が関わって子どもを育てる場である点が、学校とは大きく違うところです。そこには行政マンも必要でしょうが、できるだけ多くの市民の人たちに参加・運営していただく、社会教育や学習活動の場になればと思っています。そういう教育行政に沿った遊学館の施設のあり方、運営の仕方が当初のねらいにあり、設計段階から市民のみなさんと一緒に考えてきました。今日に至り、だんだんその目標に近づいているのではないかと思っています。
津田―知識の部分とそれを体験につなげていくこと、そして市民参加ですね。智恵の体験化を遊びを通して行うということですが、人間を通した遊びや、人間と人間との関係性から、それを体験化していくための装置として期待されているということでしょうか。
山田―子どもが外で遊ばなくなったというのは、釧路でもよく聞かれます。子どもは昔から親も先生もいないところで、異年齢の仲間と遊びを通して多くを学んできました。今、その機能を遊学館がもてるとしたら、大人を含め、様々な人と交わりながら遊び、学んでいくことができると思います。
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| 完成外観イメージ |
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| 1階/遊びの広場-1、俯瞰イメージ |
津田―今の子どもたちが、遊びは楽しいという当たり前のことを体験していないという現実があります。この施設のなかで中心的な存在は、砂場だと聞いています。砂場といえば、以前はどこの遊び場にも当然のようにあるものでしたが、そこにスポットを当てられたのはなぜなのでしょうか。
山田―釧路は四季を通して気温が低いところです。子どもが年中屋外で遊べるわけではない。そこで、屋内に砂場があればいつでも公園にいるような体験ができるという提案が出され共感しました。砂場は、遊びにとどまらず、色々な工夫を楽しめる場所です。かなり広い面積をとっていますから、たくさんの子どもが入れるし、小さな子どもでも遊べます。そこで遊んだ子どもたちが、砂からいろんなことを学んで発見してほしいと思います。
津田―そういう意味では、砂場というのは象徴的な存在ですね。展示空間というのはできあがったものを提供する場ですが、逆に砂場は素材しかなくて何もできていない。子どもたちの力で作らなくてはならない場だということが、この施設の象徴ですね。
山田―私は私的に森の中に「山小屋らんぷのいえ」を建設し青少年に開放しています。ここには電気も水道も遊び道具もありません。何もない山小屋の生活の体験を通して、子どもたちは遊びを発見していくんですね。与えられるのではない。砂場も同じだと思います。何もないところでどうやって遊ぶかを子どもたちが考えるように、砂場の砂はそのための素材になると思います。
津田―大切なのは、そこでの体験ですよね。一方で、学びの体験は辛いこともありますが、本当に楽しいことでもある。学校では先生たちが子どもたちに学ぶことの楽しさを伝えるために苦労していると思います。知識の内容より、学ぶことの喜びや楽しさをどう伝えていくのかということだと思いますが。
山田―勉強が好きな子どもは授業が楽しいでしょうが、それが楽しくない子どももいる。釧路の小中高等学校の先生6名がフルブライトの事業でアメリカ視察に行き、先ごろ帰って来ました。アメリカの学校と日本とどこが違うのかという話になり、たまたま彼らが行った学校の例では、生徒からできるだけ質問を引きだすような授業をやっていたということでした。
日本では教科書を使い、できるだけ知識を身に付けさせようとしますから、苦痛な子どももいます。でも、興味や関心を持たせれば質問をしてくる。そういう学習の楽しさは学校でも必要だし、遊学館では遊びから楽しく体験して学んで、結果として知識が身についてくるようになる。勉強や学習が先にあるのではなく、ここに来て楽しみながら、気がついてみると学んでいた、というふうになってくれるのを期待しています。
津田―そこに人間が介在するということですね。今まで市民の方も教育は学校に任せていた部分があると思います。市民参加になれば、そこも自分の問題として考えることになるというのが大きな方向転換ですね。
山田―市民の方がどう関わるか。本市では学校の授業や行事、環境整備に地域の方々や大学生がボランティアで参加する仕組みが出来つつあります。遊学館は、そういった典型的な場所になってほしい。市民の方、地域の方が主役になってほしいと思っています。行政の人間は何年かで異動になることが多いですから、そういう意味でも今回、構想段階から市民の方々に関わっていただき、計画をすすめてまいりましたが、いよいよ開館となった時から本番となります。市民の方々が、ボランティアというより自主的に遊学館の運営に関わっていただく段階になったと理解しています。