【Cultivate Vol24 特集◎博物館の情報戦略】より

デジタルによる文化の集積が新たな 「引力」を創造する

京都市観光政策監 清水宏一 プロフィール
インタビュー/吉岡 伸



新たな時代、学芸員に求められるもの

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友禅模様の実使用例/(有)ジャパンスタイルシステム
協力/(株)谷口染型工房
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友禅模様の大行灯/平安建都1200年記念協会/
(有)ジャパンスタイルシステム
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タペストリー/(株)幸和

吉岡――京都のように誰にも分かる資源に恵まれた場所ではなく、何をしたら良いか自分たちでは分からずにいる地方の観光地の方たちは、これからデジタルアーカイブにどのように関っていけばよいのでしょうか。

清水――三つあります。まず、外血導入です。小布施の場合、たったひとりの外国人女性が関り、あれだけ大きく変貌しました。彼女は、小布施にあった文化を「素晴らしい」と感じた。そこから町起こしが始まったのです。全く違った価値観でものを見ることが出来る人物が関わることで、必ず新しい発見があるでしょう。 もうひとつは、一番困っていること、ダメだと思われることを見つけることです。それが意外と一番良いところだったりするのです。例えばある村に行ったとき、 「ここは本当に何もないところだ」と地元の人が言いました。私は、 「何もないところが、この地の良いところでは?」と聞き返しました。途端に皆の目が輝き始めて、発想を逆転することが出来ました。三つ目は、地元の若者に学習の機会を与え、大いに外に出してあげることです。可愛い子には旅をさせろ、というとおり、他所の風物を観察する機会を与えるのです。他所の先進性と優れた文物に感動もしますが、たくさん見聞きし、 比較することで故郷の良さが再認識できる。すごいものは、醜悪な部分も必ず持っているからです。
  京都にしても、京都人のこだわりが、初めて来た人にとってはなじめないことが多いのですが、それが後々までも深く強く印象に残ります。カルチャーの壁というのは、実はそこにあるのです。ちょっと踏み込めばすごい文化となるのに、気付かずにいる。そこを通り越せないことが、一番悪いことなのです。
  広島の原爆ドームやベルリンの壁などは負の遺産ですが、見方を変えれば、何もかもが宝物になるのです。 宝物は決して宝石だけではありません。先祖が踏んだ足跡だって宝物なんですよ。食べ物やお酒が良い例で、沖縄の泡盛など、認知度が上がることにより、さらに珍重されています。同じように、古いものをきちんと収蔵している博物館や美術館にはたくさんの宝物が眠っているのです。そのようにガラッと価値観を変えて見ることができるのは、今が「」の時代だからこそです。博物館や美術館の学芸員が、そこを見極められる目を持っているかどうかが、チャンスにつながるでしょう。

吉岡――そこに共通しているのは、人材の重要性ですね。例えば外部のコーディネーターだったり地元のカリスマだったり、全国的にいろんな意味で仕掛け人を育成していけるようなノウハウのようなものはあるのでしょうか。

清水――若い人のパワーは素晴らしいですね。まず、若い人からそういうことを言いだすことが大切でしょう。今、僕が一番期待しているのは、小中学生です。携帯電話でのメールなどが良い例です。若い人がやらなければ、大人までが若ぶってやらなかったでしょう。日本の若者なら、絶対に面白いことが起こると思いますよ。手先を器用に使って携帯メールをやり取りしているのは、言葉を使った一種の知的ゲームです。 あれが高じると、平安貴族が遊んだ字数制限のある遊びに近いものになる。知恵と知恵が出会うと、また新たな知恵が生まれます。何事もコミュニケーションから生まれますから、日本から世界に冠たる文化が生まれていくことと思いますよ。

吉岡――ありがとうございました。




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