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| グローバル・コモン6 |
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| グローバル・コモン1 |
高橋―「地球大交流/グローバル・コモン」ということもひとつの大きなテーマになっていますね。
泉―コモンというのは元々産業革命以前のイギリス各地にたくさんあった共有地のことです。そこである人は羊を飼い、ある人は木を切り、ある人は畑を耕す。また、ある人はそこで出来た作物を買ったり、切り出された木で工芸品をつくって、それを売る。このような経済圏が成り立っていたんです。自分の土地ではなく、共有地、みんなの土地です。そのコモンという土地をイギリス政府は意図的につぶしたわけです。するとそこで働いていた、自然の感性に鍛えられ、健全な肉体を持った人たちが働けなくなり、大量の失業者が生まれた。それを意図的に都市部のマンチェスターとロンドンに集めたんです。
これは当時のイギリスの発明で、そうすると生産者と消費者が一体になるわけです。昼間は工場でモノを生産している労働者が、夜になるとモノを買う側になる。そういう国をイギリスは発明したんです。それがイギリスの産業革命が世界に先駆けて成功した大きな理由なんですね。
産業革命は世界に工業主義、インダストリアリズムを生み出し、世界に大量生産、大量消費、大量のゴミといったものを次々に産み出していった。それは大英博物館に行くとちゃんと書いてあります。「イギリスは産業革命によって素晴らしい果実を産み出したけれども、同時に猛烈な害悪もつくり出した。そのことに対して、我々はいま深く反省をしなければいけない」と、イギリス自身が言っているのです。
そういうコモンをつぶしちゃった人間の誤り、それをもう一回取り戻そう。それが「グローバル・コモン」です。そしてグローバルだから地球全体的な視野に立たなければいけません。「ここは名古屋だから愛知県民じゃなきゃ使わせないよ」というのではなくて、名古屋を愛し、愛知のことを考えるんであれば、世界中どこの国の人が来たっていいじゃないですか。ここにやって来て愛知の文化を学び、徳川の文化を学び、そして名古屋の人たちと一緒にこの地を耕して、ここで命を終えて、ここの大地に還る。地球全体が地球市民共有の土地であるという発想です。これを少なくとも博覧会という地球モデルの上で、実現してみようというのが今回の「グローバル・コモン」の狙いなんです。
そして今回は、「自然の叡智」ということもテーマに掲げました。最初は、「自然の叡智=ネイチャーズ・ウィズダム」なんてのは間違った言葉じゃないか、とヨーロッパの方に指摘されました。自然は自然、叡智は人間のものだから、「自然と人間の叡智(ネイチャー・アンド・ヒューマン・ウィズダム)」が正しいんじゃないか、と。そんななか、「自然の叡智」というテーマに対して最初に賛成と言ってくださったのは、インドネシアの環境副大臣のウィットラーさんです。環境担当副大臣の彼女が賛成してくれてからは、諮問委員会の雰囲気がガラッと変わりました。熱帯雨林では5メートル先でなにが起こるかさえ、人間には予想がつかないんです。豊かな実りの宝庫であると同時に、時には計り知れない災ももたらす大自然。そんな熱帯雨林とともに生きる人には、「自然の叡智」という言葉はよく理解できたんでしょうね。ヨーロッパの人にとっては、先が読めない自然というものは不安かもしれないけど、実はそうじゃない。「それは豊かさのシンボルなんです」というのがウィットラーさんの主張なんですね。
高橋―会場の池にしても里山にしてもコモンなんですよね。そういった僕たちの身近な場所で「自然の叡智」を再発見する。
泉―ひとつ足りなかったと思うのは、役所はつくればいいだろうという考えですが、それをいかにコミュニケーションしていくかが大切なのです。政府とか役所というのは「伝えねばならぬ」という感じですが、ボランティアやNPO、NGOの方々は「一緒にやろうよ」という姿勢で取り組んでいただきました。それが見る人に感動を与えるんです。今回はモノが多すぎて、「なにを見るか?」ということばかりに関心がいってるみたいですが、「いかに見るか?」ということに工夫を凝らして見ていただければ、と考えています。なにかひとつ興味のあるものを発見出来れば、その興味をずっと継続出来るように展示物自身は工夫はしてあるんです。ただ話題は「なにを見た」ということが中心になっちゃいました。その辺は、協会、役所、我々も含めて、少しコミュニケーションというものが充分じゃなかったなと思います。
高橋―ありがとうございました。