【Cultivate Vol28 特集◎21世紀、ミュージアム・タウンの創造と展望】より

社会貢献する企画づくりで寄付を募りミュージアムを活性化する

文部科学省大臣官房政策課企画官 栗原祐司 プロフィール



ミュージアムこそ 美しい国づくりの拠点

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ウエストポート歴史協会博物館
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ケネディ宇宙センターでの記念写真
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マウント・ヴァーノン(ジョージ・ワシントン生家)
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マウント・ヴァーノンからの感謝状

 米国の小さな施設は運営費のほとんどを寄付金で賄っていますから、とにかくいろいろな形でお金を集めます。例えば、ヴァージニア州に「マウント・ヴァーノン(Mt. Vernon)」というジョージ・ワシントンの生家がありますが、これは完全にノンプロフィットのミュージアムで、一度寄付すると毎月のようにダイレクトメールが届きます。「当館は政府から何の補助金ももらっていない。来館者の善意で賄っている」という前書きが長々とあり、「今の子どもたちはアメリカ建国の父・ジョージ・ワシントンのことをあまりにも知らない」などと、いかにマウント・ヴァーノンが大事であるかが書いてあります。

 また、ジョージ・ワシントンが描かれた25セント硬貨を同封して、「ジョージ・ワシントンは硬貨になるくらい大切な人物なのだから、寄付をお願いします」と書いてあるので、ついつい寄付をしてしまうのです。次にはカレンダーなどが送られてきて、「これを受け取ってうれしいと思うなら寄付をしなさい」と書いてある。放っておくとポスターや国旗などが、次々と送られてきます。すると、毎回は無理でも半年に1回くらいは寄付をしようかという気になるから不思議です。米国のミュージアムが寄付集めに注ぐ情熱や努力は並大抵のものではなく、そうした地道な努力が大切なのだとつくづく感じました。

 一方で、公立のミュージアムが営利性、興行性をどこまで追及するかという点については考えなければなりません。日本では新聞社などが主催するさまざまな巡回展が行われていますが、確かに人気のある展覧会を開催すれば大勢の来館者が訪れます。ミュージアムによっては、新聞社主催の巡回展に独自性を取り入れて開催している例もありますが、単なる貸し館であればミュージアムを使う意義があまりありません。やはり、公立館には地域を代表した企画を打ち出し、地域に対して貢献する役割がありますから、もっと自主性を出さなければいけないと思います。そういう意味では、公立館の学芸員はもっと努力をして、情報を収集・研究し、その成果を特別展として展示する。これが本来の日本のミュージアムのあるべき姿だと思います。
 昨年、東京国立博物館で開催された「仏像」展は自主性があり、本当に素晴らしい特別展でした。こうした企画展をどんどん増やしていけば、結果的に多くの人を引き付け、社会貢献にもつながると思います。県立や市町村立であれば、その自治体の公務員である学芸員は、地域住民の文化性の向上につながるような企画を立てなければなりません。マーケティングというと営利追求だけのように思われますが、それを社会貢献という形に置き換え、社会貢献することで結果的にお金が集まる仕組みをつくる。そうした理想を持って、企画づくりを行うことが大事なのだと思います。

 現実にはどの館も財政が厳しく、収蔵品を買うお金がないし、企画展を開く資金がないという状況にありますが、文化振興のための予算を確保することも行政の大切な役割のひとつです。安部総理が「美しい国、日本」「文化、伝統、自然、歴史を大切にする国」と言っていますが、「美しい国」づくりや日本の文化・伝統を守るためには、ミュージアムが大きな役割を果たすべきだと思います。ミュージアムこそ「美しい国」づくりの拠点であり、それぞれの地域の行政マンや学芸員が頑張って、そうした意識を広げていって欲しいと思います。




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